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ESGとは?ESG投資の種類やSDGs・CSRとの違いなどを解説

作成者: ツヅケル編集部|2022/11/15 3:27:53

SDGsについて調べていると見かける言葉が「ESG」です。頻出する単語ではあるものの、詳しく知らないビジネスパーソンもいるでしょう。

そこでESGとはどのようなものか、SDGsとの違いも含めて紹介していきます。自社のSDGsを推進するためにも、ぜひESGについてチェックしてみてください。

 

 

【Pick Up】「ツヅケル」が注目したビジネスパーソン・企業がESGに取組む理由を読み解くポイント

  • ESGとは企業経営に関連している
  • SDGsへの取組みを進めるならESGも重要

 

 

ESGとは?

ESGとは、以下3つの単語の頭文字から構成されている言葉です。

3つの観点をもとに企業経営を進めるのが、ESG経営です。

2006年、国連の事務総長であったコフィー・アナン氏は「責任投資原則(PRI)」を発表しました。責任投資原則の前文で触れられているのがESGです。

 

私たち機関投資家は、受益者のために長期的視点に立ち最大限の利益を最大限追求する義務がある。この受託者としての役割を果たす上で、(ある程度の会社間、業種間、地域間、資産クラス間、そして時代毎の違いはあるものの)環境上の問題、社会の問題および企業統治の問題(ESG)が運用ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼすことが可能であることと考える。

(引用:環境省 責任投資原則)

 

責任投資原則に参加する投資機関は、署名のうえで状況を開示・報告。日本では、2018年5月の段階で、63の機関・保険会社などが署名を行っています。

ESGで取り上げられている3つの要素について、それぞれの内容を見ていきましょう。

 

参照:国連責任投資原則への対応 

参照:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

 

 

ESGのE:Environment(環境)

環境を意味するのが「Environment」です。

長いあいだ、人類は快適な暮らしや経済的な豊かさを追求して活動を続けてきました。その結果として、地球温暖化や海洋汚染、砂漠化などの多くの環境問題が生じています。

海洋汚染や地球温暖化は、人類の未来を脅かすものです。持続可能な社会のためには、企業も環境問題に取組んでいく必要があります。

 

 

ESGのS:Social(社会)

社会を意味するのが「Social」です。

人類は経済的な豊かさだけでなく、安定した生活も目標として発展を続けています。

しかしすべての人々が安定した生活を得ているわけではありません。先進国である日本も、少子高齢化や過疎化などの問題を抱えています。

世界的に見ると、児童労働・貧困・飢餓なども大きな問題です。

起業が利益を追求する結果として社会問題につながる部分もあります。すべての人々が安定した暮らしをするためには、企業の努力も必要です。

 

 

ESGのG:Governance(企業統治)

企業統治を意味するのが「Governance」です。

健全な経営をするためには、それぞれの企業が自己管理を行っていく必要があります。しかし汚職や贈賄、不正会計などの不祥事を行う企業も多いのが現状です。

企業には、適切な管理体制のもとでルールを守った経営が求められます。

 

参照:SDGsとESGの違いは? 取り組むメリットや必要な対応も解説:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル

参照:環境省 責任投資原則 

 

 

 

ESG投資とは?

ESG投資とは、財務情報だけでなく環境・社会・企業投資に配慮した企業を選んで行う投資のことです。

欧米を中心に浸透しつつあるESG投資は、年々広がりを見せています。

リスクを抑えつつ長期的なリターンを確保するのに向いているのがESG投資です。

 

ESG投資には以下の7つの種類があります。

それぞれの内容についてもチェックしてみましょう。

 

 

ネガティブ・スクリーニング

ネガティブ・スクリーニングとは、非倫理的な事業から収益を受ける企業を投資先から除く方法です。具体的には以下のような事業が挙げられます。

  • 武器
  • ギャンブル
  • 煙草
  • アルコール
  • ポルノ

また化石燃料を扱う企業も対象から除外されます。

 

 

ポジティブ・スクリーニング

ポジティブ・スクリーニングとは、ESG評価が高い企業を選んで投資する方法です。ポジティブ・スクリーニングでは、環境や社会に対して良い影響を及ぼす企業を選びます。

  • ダイバーシティに取り組んでいる
  • CO2削減を目指している

ESG評価が高い企業は、将来的に業績も上がるとの考えに基づいています。

 

 

国際規範スクリーニング

国際規範スクリーニングとは、ESGに関する国際規範をもとに企業を選んで投資する方法です。国連グローバルコンパクトや、国際労働機関の規範などが該当します。

国際規範スクリーニングでは、規範をクリアしていない企業は投資の対象外です。また人権問題や環境問題などでの不祥事があった企業も、不適切だとして除外されます。

 

 

ESGインテグレーション

ESGインテグレーションとは、財務情報・ESG評価を組み合わせて投資先を選ぶ方法です。従来のように財務情報も考慮の対象になります。

長期性が高い資金運用などで普及しつつあるのが、ESGインテグレーションです。

ESG評価は、将来のリスクを検討するうえで参照されます。

 

 

インパクト投資

インパクト投資とは、経済的なリターンだけでなく、社会や環境へのインパクトを与えるために投資を行う方法です。

かつて投資の軸となっていたのは、リターンとリスクの2つでした。もう1つの軸として社会や環境へのインパクトを取り入れた投資の方法です。

社会問題や環境問題に貢献している企業が投資の対象となります。

 

 

サステナビリティ・テーマ投資

サステナビリティ・テーマ投資とは、サステナビリティに貢献する企業やプロジェクトを選んで投資を行う方法です。

具体的には以下のようなテーマが挙げられます。

  • 再生可能エネルギー
  • 多様性
  • 男女同権

SDGsとも深く関係しているのが、サステナビリティ・テーマ投資です。

 

 

エンゲージメント・議決権行使

エンゲージメント・議決権行使とは、企業の株主になって、ESGの要素を取り入れるよう促す投資の方法です。ESGへの配慮を促し、企業のESG評価を高めます。

この方法では、株主が議決権行使・情報開始要求などを行使するのが特徴です。

 

参照:GSIA「Global Sustainable Investment Review 2020」

参照:ESG投資とは?種類やメリット、始める方法を簡単にわかりやすく解説|iyomemo(いよめも) 

 

 

 

ESGはSDGsやCSRとはどのように違うの?

ESGとは、SDGsやCSRとはどのように違うのでしょうか。企業活動に関わる用語は多岐に渡るため、意味合いの違いが掴めない人も多いものです。

そこでESGが、SDGsやCSRとどのように違うか簡単に紹介します。

意味を掴むためにも内容をチェックしてみましょう。

 

 

SDGsとESGの違いとは?

「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったのがSDGsです。SDGsとは「持続可能な開発目標」を意味します。

そしてSDGsを達成するためにも必要とされているのがESGです。

  • SDGs……持続可能な開発目標で、国・企業・個人がそれぞれ行動する
  • ESG……企業を経営していくうえで取組むべき環境や社会などでの課題

企業経営者や投資家がESGを意識すると、SDGsの促進につながります。投資を受けるためにESG評価を高めようとする企業も増えるためです。

そのため両者は密接につながっています。

 

 

SDGsとCSRの違いとは?

「Corporate Social Responsibility」の頭文字を取ったのがCSRです。CSRとは「企業の社会的責任」を意味しています。

企業が成長するには、従業員や地域などからの信頼が必要不可欠です。そのために企業は社会的責任を果たす必要があります。

具体的には以下のような活動がCSRです。

  • 環境に配慮した製品を提供する
  • 倫理的な企業活動を行う

CSRはESGと似ている部分があります。しかし投資家とは直結せず、企業側の目線で考えられているのがESGとの違いです。

 

参照:SDGsとESGの違いは? 取り組むメリットや必要な対応も解説:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル

 

 

 

企業がESGを取り入れる方法

企業がESGを取り入れる方法についても紹介します。ESG評価を高めるには、次のような取組みが効果的です。

  • 再生可能エネルギーの利用やCO2排出量削減を進める(Environment)
  • 多様性を推進した職場環境を作る(Social)
  • 財務情報・非財務情報などの開示を行う(Governance)

具体的な方法は企業によって変わります。なぜなら企業によって、取り扱っている事業やサービスに違いがあるためです。他社が行っているESG取組みをそのまま導入しても、自社に適しているとは限りません。

ESG経営を行うなら、自社で可能な取組みを検討していく必要があります。

 

 

 

SDGsを推進するならESGへの検討も必要

ESGを取り入れるなら、Environment・Social・Governanceそれぞれへの対応が必要です。自社のESG評価を高められると、投資家からの評価も上がります。

ただし短期的には効果が見えづらいのが、ESGのデメリットです。そのため長期的な結果を見据え、ESGの取組みを進めていく必要があります。

将来的になりたい姿を確認し、ESG経営の観点から戦略を立ててみてください。このときSDGsの目標に絡めて取組みを考えるのも大切です。公開した活動結果は、投資家や金融機関から融資を受けるための手段としても使えます。

自社でSDGsを推進するなら、ぜひ直結しているESGについても検討してみましょう。

 

 

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