現在は規模を問わず、多くの企業がSDGsへの取組みを行っています。しかし、なぜ上場企業だけでなく、中小企業もSDGsへの取組みを行う必要があるのでしょうか。「理由が分からない」と感じているビジネスパーソンも多いでしょう。
そこで多くの企業がSDGsへの取組みを重視している理由や、代表的な例などを紹介します。取組みをしていくうえでの参考として、ぜひ内容をご確認ください。
SDGs とは、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標のことをいいます。正式名称は"Sustainable Development Goals"で日本語に訳すと「持続可能な開発目標」を意味します。
SDGsの前身となるのが、2001年に策定、2015年が達成期限とされた「ミレニアム目標(MDGs)」です。MDGsには一定の成果が見られましたが、MDGsの達成状況を国・地域・性別・年齢・経済状況などから見てみると様々な格差が浮き彫りとなり、"取り残された人々"の存在が明らかとなりました。
後継であるSDGsでは途上国への支援に重点が置かれ、「誰ひとり取り残さない」ことを原則としました。
また、SDGsには17の目標があり、各目標には合計169個のターゲットというものが設定されています。現在多くの国や企業がその目標を達成すべく積極的に取組みを進めています。
出典:SDGsとは|農林水産省
出典:SDGs CLUB |日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
出典:ESDGsの前文・宣言 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
出典:ミレニアム開発目標(MDGs)の達成状況|JICA
出典:ミレニアム開発目標(MDGs)|日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
CSRとは、「企業の社会的責任」という意味で、利益の一部を社会に還元・投資することで生まれてきたものです。
会社の中でもCSR部というところがここを主に担っているケースが多かったため会社の中でこのことについて考えるべきはCSR部に所属するメンバーだけでよかったという面があります。
また、ESGとは対投資家へのメッセージであると言えます。
2006年に国連のアナン事務総長の呼びかけから始まったもので、 投資家や金融機関がESG(環境・社会・企業統治の要素)の観点で投融資を行うことで、環境・社会面で、良い活動をしている企業や事業が成長し、悪影響を及ぼす企業には資金が集まらないようにしていくべきだ、ということに端を発しています。
最後にSDGsですが、SDGsは今や社会全体の価値基準となりつつあります。
影響範囲は、投資家、消費者、従業員、規制・法律、企業など、非常に幅広く、CSRは企業の中のごく一部の部署、 ESGは金融業界だけに影響を与えるのに対し、SDGsは社会全体に広がっており、その波及効果の違いがビジネスの上で非常に大きな影響を及ぼすことになります。
取組みを進めていくには、SDGsへの理解が必要です。主旨や目標を理解したうえで企業内に浸透させていくのは手間もかかります。
それでも取組みを重視している企業が多い代表的な理由が以下の4つです。
それぞれの理由について解説していきますので、内容をチェックしてみましょう。
企業が取組みを進める理由の1つが、SDGsの主旨に賛同していることです。
SDGsとは日本語で「持続可能な開発目標」を意味しており、17のゴール・169のターゲットから構成されています。
地球環境は深刻な問題を多く抱えた状態です。貧困や飢餓は遠い国の話だと感じる人もいるでしょうが、日本も無関係ではありません。地球温暖化による異常気象や自然災害の増加は、日本にいても実感できます。
紛争・戦争もなくならないなかで、世界の人口はさらに増加する見込みです。将来的には食料や資源をめぐる争いが生じる可能性もあります。
そんな地球全体が抱える課題の解決を目指すための世界目標がSDGsです。企業だけでなく人類が生き残るために、SDGsへの取組みは重要なものであり、新しい価値観と言っても過言ではありません。
その主旨に賛同してSDGsへの取組みを始める企業もあります。
参照:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省
SDGsに取組む企業が多いのは、ブランドイメージを向上させられるからでもあります。
株式会社博展の調査によると、18~79歳の男女15,000人のうちSDGsを認知しているのは84.2パーセント。すでにSDGsは一般消費者にも広く浸透している状況です。積極的かつ効果的な取組みにより、ブランドイメージを向上させた企業も多く存在します。
ブランドイメージは、企業の収益も左右します。取組みを社外にうまくアピールできれば、収益にもプラスの効果をもたらします。
実際に消費者としてサービスの提供を受けるなら、誰しもイメージの良い企業を選びます。社会的信頼が低い企業のサービスを受けたいと考える人は少ないはずです。
それもあって、多くの企業が、SDGsへの取組みを行っているのです。
参照:消費者が選ぶSDGsブランド企業 1位は2年連続で「トヨタ」! | 株式会社共同通信社
新しいビジネスを創出できるのも、企業がSDGsに取組む理由です。本業をうまくSDGsとつなげて取組みを行っている企業もあります。また、SDGsへの取組みは、ステークホルダーとの連携による、新しいビジネスの創出も可能です。
さらに、SDGsへの取組みは投資家たちからも大きな注目を集めています。
SDGsをきっかけとして広まったのがESG投資です。基本的な財務情報だけでなく、環境や社会に配慮しているかも基準にするのがESG投資となっています。
企業がESGに配慮すれば、結果的にSDGsでの目標達成も可能です。投資家の支持が得られると、新しいビジネスの創出資金が得られるでしょう。
そのため本業に広がりを持たせたい企業にとっても、SDGsへの取組みは重要なのです。
参照:経済の新たな動き「ESG投資」が、【SDGs(持続可能な開発目標)】の達成を後押しする
社員のサポートにつながるのもSDGsへの取組みを行う企業が多い理由です。取組み次第ですが、以下の目標は社員のサポートにつなげられます。
たとえばソフトバンクでは、SDGsへの取組みとしてレジエントリな経営基盤の発展を目指し、女性管理職比率を20パーセントまで上昇させました。リーダーや管理職になれる女性が少ない日本では、画期的な取組みであるといえます。
モチベーション維持につながる取組みができれば、優秀な人材の流出を防げるでしょう。また、優秀な人材を獲得することへも繋がります。社員のサポートは、企業にとっても価値のある取組みです。
参照:SDGs17の目標 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
参照:ソフトバンクのSDGs取組みとは?戦略策定にわずか1.5か月!驚異のスピードと事業の幅広さで圧倒 | SDGsビジネスニュース
SDGsに企業が取組むメリットとして以下の3つがあげられます。
SDGsは大きなビジネスチャンスであるということです。
2017年にダボス会議で議論されていたものの中にSDGsを推進する中でどれくらいのビジネスチャンスがあるのか、という市場規模を試算したものがあります。2018~2030年の間に世界規模で12兆ドルの経済価値があると試算されました。
また日本ではどうかというと、2021年度の日本政府の予算は6.5兆円組まれました。
日本ではSDGsに関して8つの優先課題があり、その中でも ジェンダー平等、地域活性化、省・再生可能エネルギーはビジネスチャンスという枠を飛び越えて企業が取り組まなければ企業のリスクにつながる項目になっています。
また、これらのアジェンダには補助金や規制緩和も期待でき、まさに大きなビジネスチャンスになりうる分野です。
出典:令和3年度当初予算政府案(12月21日閣議決定)及び令和2年度補正予算(12月15日閣議決定)政府案の総額
まさに今、SDGsを考慮しない企業は資金調達が困難になる可能性が出てきています。
2018年にESG残高は3400兆円に達しました。これは世界の投資総額の35%を占めます。先にお話したように投資家や金融機関がESGの観点で投融資を行うことが当たり前になってきたことで、ESGを配慮しない企業は今後、投資家に選ばれない可能性があります。
今後、SDGsが”世界的な大正義”になり、個々の企業も“SDGsな会社か?”があらゆる場面で問われるということが近未来として予測されています。
例えば、非常に採用難といわれる人材が枯渇した時代と言われる現在、人材採用においてSDGsな企業かどうかということころが応募数の増減に関わってくるというところが今現在も実際に起きています。
また、アメリカのApple社はサプライヤーに再生エネルギー100%を要求、ドイツのポルシェ社は再生可能エネルギー100%での生産を部品供給メーカーに義務化するなど、サプライヤーが取引先から選別されることが当然となりつつあります。
「選別される」という言葉に忌避感を抱くかもしれません。しかしSDGsに真剣に取組み成果を出すことで、こういった海外でSDGsに熱心な取引先に「選ばれ」、大きなビジネスチャンスに繋がる可能性があります。
企業のSDGsの取組状況をみてみましょう。
下の表は、帝国データバンクが2023年に行ったSDGsに関する企業の意識調査を実施した結果です。
同社の2020年の調査では、SDGsに積極的な企業は34.4%でした。しかし、年を追うごとにSDGsを意識する企業は増え 2023年の調査では53.6%まで増加し、5割を超える企業が前向きな姿勢を示す結果となりました。
企業の規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.6%となり、全体(53.6%)を大幅に上回りました。 なかでも「中小企業」では50.4%と帝国データバンクの調査開始後初の5割超えとなっていることもわかりました。 つまり、規模の小さい企業でもSDGsに取組む姿勢が高まってきているということが伺えます。
SDGsに積極的な企業を業界別にみると、『金融』が72.0%で最も高く、次いで『農・林・水産』が高いということもわかりました。
また、この調査の中でSDGsに取組む企業の約7割が取組みの効果を実感していることが分かりました。
なかでも、「企業イメージの向上」が4割弱でトップとなり、また、「売り上げの増加」や新商品開発等につながった企業もあったことから、SDGsへの取組みは社会課題の解決への貢献だけでなく、企業価値の向上やビジネスチャンスの獲得、ひいては業績の改善にも結びつくことが予想される結果となりました。
出典:特別企画:SDGsに関する企業の意識調査(2023年)|帝国データバンク
SDGsコンパスとは、SDGs導入における企業の行動指針のことをいいます。つまり、このコンパスに沿って推進していけばSDGsがある程度達成されていくだろうという、そういうステップをまとめたものと認識すればいいかと思います。
ステップは、以下の5つがあげられます。
STEP1〜3は比較的わかりやすいかと思いますが、STEP4とSTEP5については次に個別に説明いたします。
STEP4では、SDGsを推進していこうとすると利益率が下がってしまったり原材料が騰がってしまったりといった 経営判断できちんと解決していかないといけない問題がたくさん出てくるかもしれません。経営陣自体がこのSDGsの課題にコミットして推進していくんだ、とある程度決断していかなければいけない場面がたくさん出てくるでしょう。それを経営陣で意見を統合・決定していく必要性を説いています。
STEP5については、STEP3で立てた目標をどのように達成しているのか、というところをレポートラインで確認していく必要があります。また、それを改善していかなければいけないとなった時に速やかに会議体、もしくはコミュニケーションがとれる状態を作っていき結果結論を導き出す、というところをを説いています。
最終的にSTEP5で達成がなされた後は、SDGsはなかなか終わりがないということもあり優先課題を新たに作っていかないといけません。つまりSTEP2まで戻り、新たな課題をこなす、というルーティンを繰り返すことによりSDGsネイティブな企業を目指すことができるのです。
SDGsの課題は、2030年をターゲットにしているため、1年単位の取組みではなく数年単位で取組んでいくべき 課題となっています。
数年単位の目標を設定している企業の事例を2つ紹介します。
明治グループは2030年度に向けて国内の水使用量を2015年対比で20%以上削減する目標を設定しています。
詳しい目標は以下の3つです
1. 水の適正管理および節水に配慮した設備導入等による水使用量の削減
取水と排水の両方のデータを公開し、削減に取組むと同時に公に見える化を実現するということを計画の中で発表しているというところがポイントです。
2.化学物質の適正管理による排水の水質確保
明治グループは国内においての法令に定められた基準よりもさらに厳しい排水に関する自主基準を設定しています。さらに、水質確保を設備投資などで実現していくと表明しています。
3.水リスクの把握と低減対策
水使用に関する生産への影響というところで、地域の水リスクを国際機関の評価として導入することを表明しています。その水リスクの高い地域に関しては現地へのヒアリングを通して情報を収集して具体的な低減対策などをしていくと発表しています。
表から見てもわかるように、きちんと目標年に向けて削減幅を増やしていくという数値目標を掲げていることがわかります。SDGsコンパスに非常に合致した内容になっているかと思われます。
出典:サステナビリティ2026ビジョン|明治グループのサステナビリティ|明治ホールディングス
クボタは気候変動への対応を積極的に取組んでいます。
具体的には表のように、2030年にクボタグループのCO2排出量を2014年度比で60%削減することを目標に、インターナルカーボンプライシングを導入しています。このシステムは、組織が内部的に炭素価格付けを実施することができ、設備のエネルギー使用量や削減効果を算出することができます。
導入により、2022年度には38.9%の削減に成功しました。製造工程において使用される設備や照明、空調などの省エネ化、燃料転換などの取組みも進められています。
この事例も、SDGsコンパスに非常に合致した内容と言えます。
出典:気候変動の緩和と適応(TCFD対応)|サステナビリティ|クボタ株式会社
SDGsをビジネス展開に繋げるには、自社の課題の整理と優先順位の決定が重要になってきます。ここで、この二点について詳しく見ていきましょう。
まずは課題の整理についてです。課題の整理をするためには、自社の製品・サービスがSDGsに取組むうえでどういったところから切り込めるかを考える必要があります。そして、自社が取組もうとしているSDGsが以下のどの型に当てはまるのかを考えると、わかりやすいかと思います。
<企業が取組むSDGsの主な種類としての5つの型>
では、一つずつ事例を交えながら確認していきましょう。
企業事例として、Sansan株式会社の植樹プロジェクト「Scan for Trees」がこれに該当します。
法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を提供している同社は、データ化した名刺総数が、1本の木から作られる名刺枚数に達するごとに1本の樹を植えるという、サービスの原点である名刺を通じた取組みを行っています。
出典:名刺を森に還すプロジェクト「Scan for Trees」 累計植樹本数5,000本を達成 〜事業の成長とともに、「名刺の森」を拡大〜|Sansan株式会社
事例として、株式会社ニップンがあげられます。
同社では、動物たんぱくが将来的に不足することを見越して、植物たんぱくである大豆を使った新素材、ソイルプロを開発。この新素材は、挽肉に近い自然な肉感。高たんぱくで低脂質、食物繊維も豊富に含んだ食材です。また、家畜の飼育に必要な牧草地確保のための森林伐採や大量の水等が不要であることから、持続可能な食料供給にも貢献します。
出典:「SDGs×食品産業」17の目標と食品産業とのつながり|農林水産省
大塚ホールディングス株式会社の事例をみてみましょう。
地球温暖化が叫ばれる昨今、熱中症や熱帯病感染における応急処置としての正しい水分・電解質補給の方法やその重要性は世界において十分な認知が広がっていません。同社の製品「ポカリスエット」はよく知られている商品ですが2018年にはこれまでの熱中症研究で蓄積したノウハウをもとに、新形態「ポカリスエット アイススラリー」を発売しました。
高い冷却機能で知られていたアイススラリー(個体粒子が液体に分散した流動体の状態)という剤形に注目し、独自の技術により製品を開発。暑熱環境下での活動に対し、効率よく身体を芯から冷やす、“飲める氷”の熱中症対策飲料という新たな選択肢を提案しました。
出典:「SDGs×食品産業」17の目標と食品産業とのつながり|農林水産省
事例として、株式会社湖池屋をみてみましょう。
同社では、各工場(関東工場、関東第二工場、京都工場)では、どうしてもリサイクルすることのできない石などを除き、 発生した食品廃棄物等を培養土にしたり養魚飼料といったものにしてリサイクルに努めています。ポテトチップスを製造する洗浄~包装という過程において、2022年の再生率はなんと97.5%という高水準を維持しています。
あさひ製菓株式会社の事例をみてみましょう。
同社は、従業員約400名のうち約80%を女性が占めており、管理職従事者に占める女性の割合では33%となっています。一月に120時間程度勤務すれば、勤務時間を自由に設定できる短時間勤務制度の導入のほか、毎週木曜日と日曜日をノー残業デーに設定するとともに、時間外業務を30%削減するという目標をかかげ、ライフワークバランスを大切にした働きやすい環境作りを積極的に行っています。
出典:「SDGs×食品産業」17の目標と食品産業とのつながり|農林水産省
自社の取組むべき課題の整理の方法として、経済的合理性を考えることはもちろん自社のビジョンとそしてそれをやらないことのリスクをあわせて考えていくということが非常に重要なポイントとなってきます。
前述のとおり、5つの観点から課題の整理をみてきましたがこれらの中で非常に重要なことはESG投資という観点からこういった取組みがなされているのか否かによって、企業の血液ともいえるキャッシュフローがどのようになっていくか左右されることになります。
ESG投資は世界的に非常に大きな伸びをみせており、日本企業もこういったことに取組んでいかないといけないのが現状です。
企業にとってSDGsに取組むメリットにどんなことがあるかというと、まず、企業全体のPRに役立つことがあげられます。前述の5つの型のうち、これに該当するものは「①寄付・社会貢献型」と「④生産の仕組み改善型」にあたります。
また、「②新製品・新規事業開発型」と「③既存製品の改良型」は商品の優位性が高まりさらにエシカル消費を加速させていく、つまり売り上げに繋がっていくことが期待できます。
そして「⑤企業の制度づくり型」にいたっては、企業全体のPRはもちろんのこと、SDGsネイティブとも呼ばれる特に若い世代がそうですが、人材採用においてSDGsに取組んでいるということで優秀な人材を採用できるというきっかけになったり、退職リスクの軽減にも繋がります。
優先順位を決める上で、考慮すべきことが二つあります。それは「緊急性・重要性」と「実行速度」です。
「緊急性・重要性」というのは、それを早くやらないと事業や企業の競争力や優位性が低くなる事柄かどうか、また、ビジョンと照らし合わせた時に優先すべき事柄がそれに該当します。
また「実行速度」とは、社内のリソースを考えた時にその実行スピードはどうなのか、ということです。
ですので、優先順位が一番高いものは「緊急性・重要性」が高く、「実行速度」が速いものがそれに該当することとなります。
以上のように、SDGsに取組むうえで自社の課題を整理し、また自分たちが提供するサービスがどの型にあてはめていいのかを見極めることが重要です。
そして取組む方向性が決まればまず何に着手していけばいいのかを「緊急性・重要性」と「実行速度」に照らし合せて優先順位を決めましょう。
この二つを取り入れることにより、どうやってSDGsに取組めばいいのかわからずに後回しになりがちであった 「企業によるSDGsへの取組み」をスムーズに進めていくことができるでしょう。
SDGsの取組みが評価されている企業例を紹介します。株式会社博展では「Japan Sustainable Brands Index(JSBI)」という調査を実施しました。
2021年に上位を獲得した企業一覧は以下の通りです。
ランキング上位には全国的に有名な企業が名を連ねているのが大きな特徴です。ただし消費者を対象とした調査では上位に入らなくても、取組みを高く評価されている企業もあります。
ランキング外も含めて3社をピックアップしてご紹介しますので、ぜひご確認ください。
ピックアップ3社
参照:消費者が選ぶSDGsブランド企業 1位は2年連続で「トヨタ」! | 株式会社共同通信社
JSBIで2位にランクインしているのが「無印良品」です。無印良品を運営する良品計画は、「ESG経営のトップランナー」を目標として掲げています。
以下の取組みは、特に大きな話題となりました。
本業を生かし、消費者を巻き込んだSDGs推進を行っているのが無印良品の大きな特徴です。また複数の取組みを関連づけ、うまく周知しています。
自社の本業を生かした取組みをするのなら、無印良品の例が参考として使えるでしょう。
写真(JHVEPhoto / Shutterstock.co)
参照:無印良品のSDGs取組み事例とは?顧客が楽しみながらSDGsに参加できる取組みを展開、自社の利益につなげる | SDGsビジネスニュース
事業の柱である「食料・水・生活環境」を中心に、5つのグループわけをして取組みを行っているのが「クボタ」です。その取組みは消費者からも高く評価され、JSBIでは6位にランクインしています。
クボタはブランドステートメントとして、“For Earth, For Life”を掲げています。重点的な取組みの対象である食料・水・環境は、私たちの暮らしにも直結するものです。
クボタはSDGsに対し、国内トップ、世界シェアでも3位のメーカーとして、熱心な取組みを行っているとして高い評価を受けています。
クボタの取組みについてもくわしく紹介している記事がありますので、ぜひ詳細をご確認ください。
参照:クボタのSDGs取組み事例。「食料・水・環境」分野で展開する事業のひとつひとつで、持続可能な社会に貢献 | SDGsビジネスニュース
事業目的自体をSDGsに合致させている稀有な企業が「ユーグレナ」です。
Beyond Sustainability 2021では、さまざまな取組みが評価されて環境賞を受賞。さらに貧困農家への支援では、第5回ジャパンSDGsアワードでSDGs推進本部長賞を受賞しています。代表的な取組みは以下のようなものです。
創業以降、ユーグレナでは積極的に社会的課題への取組みを続けています。ベンチャー企業としてイノベーションを醍醐味とし、SDGsを中心とした事業を展開しているのがユーグレナです。
これから事業を起こすなら、ユーグレナのようにSDGsを軸とする取組み方法も考えられるでしょう。
ユーグレナの取組みは以下の記事でご確認いただけます。
写真(株式会社ユーグレナ |ユーグレナのニュース|ニュースリリース)
参照:ユーグレナのSDGs取組み事例。多数の賞を受賞する同社の取組み方針と事例をご紹介 | SDGsビジネスニュース
その他にもツヅケルでは、各企業の取り組みをご紹介しています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。
企業がSDGsの取組みを行うにあたっての大きな注意点を2つ紹介します。取組みを検討するなら、以下2つのポイントに気をつけてみましょう。
ポイントについてそれぞれ解説しますので、実際に取組むにあたっての参考にチェックしてみましょう。
SDGs17の目標はいずれも大きく、1つの企業や団体だけで達成できるものではありません。国単位で取組んだとしても、目標の達成は困難であるのが現状です。
そこでSDGsの背景を知り、目標を噛み砕いたうえで自社に落とし込んで取組みを考えていく必要があります。
まずは自社の課題を探り、オリジナルの取組みを考えてみましょう。自社の事例は参考として役立つものの、企業により規模や課題には違いがあります。
ただの真似にならないよう、自社に合った取組みを検討していくのがベストです。
SDGsでは、実現可能な取組みを進める必要があります。まったく実態のない取組みはSDGsウォッシュとの誤解を生じさせるものです。
SDGsウォッシュとは、実態の伴わない見せかけの取組みを意味します。日本でも、過去にSDGsウォッシュだと指摘を受けた企業が存在しました。
企業にとっては、利益の追求は大切です。しかし利益の追求が目的で見せかけの取組みを行うと、消費者は敏感に反応します。
ブランドイメージを向上させるという大きなメリットがあるものの、失墜させるデメリットも併せ持つのがSDGsです。
企業がSDGsへの取組みを進めていくのなら、まずは理解を深めるのが重要です。そのためには、研修やe-ラーニングなども活用してみてください。
SDGsを本業に直結させられる企業もあれば、新たなビジネスを創出できる企業もあります。うまく取組みを推進できればブランドイメージの向上が可能です。しかし、実態を伴わない取組みはブランドイメージの失墜につながります。
知識を習得して課題を設定し、目標を決めたうえで、自社のビジネスに組み込んでいきましょう。
因みにツヅケル編集部が推奨するビジネスパーソンのための「SDGsビジネスラーニング」ではこれらの内容を動画(eラーニング)で視聴することができます。月200円~/人で視聴できる企業研修。サービス開始2か月で1.6万人が受講したeラーニングを是非ご覧ください。