無印良品のSDGs取組み事例とは?顧客が楽しみながらSDGsに参加できる取組みを展開、自社の利益につなげる

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    「無印良品」は、株式会社良品計画によるライフスタイルブランドです。無印良品では、家具・衣料品・雑貨・食品などの一般に知られているプロダクトの開発や販売だけでなく、カフェやホテルなど生活の基盤となる「場」づくりも手がけています。

    生産プロセスを合理化し、シンプルでリーズナブルな商品を提供しているのが、無印良品の大きな特徴。そのスタイルは広く支持され、店舗数は全世界で1,000以上、アイテム数は7,000以上にも増加しました。

    1980年の誕生以降、無印良品は以下の3つを原則としています。

    1. 素材の選択
    2. 工程の点検
    3. 包装の簡略化

    社会や環境に配慮したものづくりを継続している無印良品。そんな無印良品では、SDGsについてどのような取組みを行っているのでしょうか。無印良品でのSDGs取組みについて、実際の取組み事例をお伝えします。

    写真(JHVEPhoto / Shutterstock.co)

     

    無印良品のSDGs取組み方針

    無印良品を運営する良品計画の目標は、「ESG経営のトップランナー」です。商品におけるESG・事業活動でのESG・土着化活動でのESG、それぞれを推進するために、社会や環境に配慮したものづくりを進めています。

    無印良品では商品の販売だけでなく、社会の課題や環境問題の解決をしつつ、新しい価値を創造していくとのこと。

    出典:サステナビリティ 無印良品がめざすもの

     

    今回は無印良品の推進するSDGsについて、取組み事例をご紹介いたします。上図のように、ESG経営のトップランナーを掲げる無印良品は多岐に渡る取組みを行っています。その中でも多くのビジネスパーソンにとって参考にしやすい以下3つのポイントについて、詳しく解説していきます。


    【Pick UP】「ツヅケル」が注目した無印良品のSDGs取組みのポイント

    • 本業と直結させた利益にもつながる取組み
    • 利用者参加型でのSDGs推進
    • 自社で対応可能な改善案

    本記事では、無印良品の特徴的なSDGsの取組み内容を、具体的な事例を交えてご紹介します。自社での取組みの参考になりますので、ぜひご覧ください。

     

    無印良品のSDGs取組み事例①:SDGs/ESG特化型店舗「MUJI 新宿」

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    2021年9月、無印良品は「MUJI 新宿」および「無印良品 新宿」をリニューアルオープン。このうちSDGsやESGに特化しているのが「MUJI 新宿」です。リサイクルやリユースを意識した「MUJI 新宿」は、目標12「つくる責任 つかう責任」に該当します。

    「MUJI 新宿」では1階に日本国内最大規模の「ReMUJI」のコーナーを設置。「ReMUJI」とは、2010年から無印良品が取組みを続けているプロジェクトで、利用客が着用した衣類を回収して再商品化するというものです。染め直しや洗い直しをした服が、リーズナブルな価格で販売されています。

    店舗の詳細な内容についての情報は、オウンドメディア内にある「MUJI NEWS」でも大きく取り上げられました。

    世界的に見ると、日本のSDGs取組みはまだ改善の余地があります。そんななかで「MUJI 新宿」は、SDGsへの認識を浸透させられるうえに、楽しみながら参加できる仕組みです。自社でSGDsの目標を考えるにあたって迷っているのなら、業種によっては「MUJI 新宿」のようなアプローチもできるでしょう。

     

    参照:「MUJI 新宿」「無印良品 新宿」リニューアルオープンしました

    参照:MUJI NEWS 

    写真(Sorbis / Shutterstock.com

     

    無印良品のSDGs取組み事例②:水プロジェクト

    脱プラスチックを目的とした無印良品の取組みが「水プロジェクト」です。この取組みはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」などに該当します。

    無印良品ではPET素材回収のリサイクルを開始。さらに毎日ボトルを捨て新しいものを購入するのではなく、水の詰め替えができるよう、店舗内に給水器を設置しています。給水サービスではマイボトルも使用が可能です。さらに店舗内では、以下のようなアイテムを販売しています。

    • 自分で詰める水のボトル(190円)
    • ステンレス保温保冷マグ(200ミリリットル990円・350ミリリットル1,290円)
    • 水に溶けるアールグレイ・水に溶ける茉莉花茶(各390円)

    リーズナブルな水ボトルを販売しつつ給水サービスを行うのは、売上につながるだけでなく利用客にも便利な仕組みです。アプリを使うと給水ポイントも確認できて、環境への貢献度も分かるようになっています。

    取組みの結果、2021年度に回収したプラスチックボトルの回収量は729キログラム。回収したボトルはポリエステル原料にリサイクルして、石油由来原料の有効活用につなげています。

    水プロジェクトは、本業を生かして利用客を巻き込んだSDGs推進の取組み事例です。アプリを活用して、どれだけ環境に貢献できるか確認できるのも、ユーザーにとってはSDGsを身近に感じられる良いシステム。対外的なアピールもできて売上にも貢献できる取組みを考えているのなら、無印良品のようにユーザーを巻き込む方法も良いでしょう。

     

    参照:「給水サービス」を始めました 

    参照:水プロジェクト 

     

    無印良品のSDGs取組み事例③:脱プラスチック

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    写真(DW labs Incorporated / Shutterstock.com)

    ペットボトルからアルミ缶への移行

    2021年04月27日、無印良品は「みずから、はじめよう。」と題し、飲料新商品発表会を無印良品銀座地下1階で開催しました。オンラインも含め多数のメディアが参加した記者会見で発表されたのは、アルミ缶ドリンクの新商品です。

    アルミ缶はリサイクル率が98パーセントと非常に高い素材。さらに光を遮る性質があるため、ドリンクの賞味期限も長くなります。

    この取組みは、目標12「つくる責任 つかう責任」につながるものです。脱プラスチックだけでなく、フードロスの削減も実現できます。

    さらに発表会では、無印良品の水プロジェクトについても紹介。無印良品は発表会を通じ、SDGsへの取組みを世間に広くアピールすることに成功しています。

    自社の取組みを周知する方法について、どうするべきか迷う企業は多いでしょう。無印良品のように、複数の取組みをうまく関連付けて周知するのも方法の1つです。

     

    参照:「みずから、はじめよう。」飲料新商品発表会を開催しました

     

    プラスチックピンから紙製タグピンに変更

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    「脱プラスチック」に対する取組みは、水プロジェクトだけではありません。無印良品では、ショッピングバッグ・パッケージなどの副資材についても見直しを行っています。この取組みはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に該当するものです。

    2021年9月、無印良品は、衣料品のタグをとめるピンをプラスチックから再生紙を含むFSC紙に変更しました。強度を保つために紙をねじり、ピンとして使えるようにしたのです。2021年秋冬商品からピンは順次変更されています。

    紙製のピンは風合いも良く、商品の外観も損ねません。一つひとつは小さなものですが、多数のアイテムを有する無印良品がすべてのピンを紙に変えたなら、大きなプラスチック削減につながるでしょう。

    SDGs推進にあたり、つい大きな目標を設定したくなる企業も多いもの。しかし自社で可能な改善を少しずつ進めていくのも重要な取組みです。「できること」を抽出し少しずつ改善していく姿勢は、目標設定に悩む企業にとって大きな参考になるでしょう。

     

    参照:「衣料品のタグを止めるピンをプラスチックから紙に変更しました」 

    写真( TY Lim / Shutterstock.com)

     

    詰め替えボトルの紙化

    使用頻度の高いシャンプーやコンディショナー、ボディソープやハンドソープなどの日用品の詰め替えパッケージについて、無印良品は2019年から再生紙などの代替素材に置き換える取組みも行っています。

    同時に、パッケージの大容量化も実施。これにより消費者の買い物頻度を抑え、また細かいゴミの削減も図ります。

     

    参照:ヘアケア・ボディソープ・ハンドソープのリフィルを大容量・紙パッケージで新発売しました

     

    無印良品のSDGs取組み事例④:コオロギせんべい

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    無印良品によるSDGs取組み事例のなかでも、特に大きな話題となったものの1つが「コオロギせんべい」です。コオロギせんべいは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」や目標13「気候変動に具体的な対策を」につながります。

    昆虫を使った食品に抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかしコオロギを高級食材として扱う国や、養殖している国もあるのです。

    コオロギせんべいは、無印良品の運営元である良品計画と徳島大学により発売されました。タンパク質1キロあたりで見ると、コオロギに必要なエサの量は牛の約2割。さらに温室効果ガスの排出量も牛の3パーセント程度です。

    環境への負荷が少ないコオロギせんべいは話題を集め、オンラインストアでは発売当日に売り切れ。一部店舗で販売が開始され、好評を得ています。原材料のコオロギは微細なパウダーにされているため、見た目では分かりません。

    生態系や環境を守りつつ持続可能な食糧生産の仕組みを作るためには、今までと違った視点から食料を考えるのも大切です。新たな食糧生産を考えるうえで、コオロギのように「日本では食べられていないが食用として養殖できるもの」に注目するのも方法の1つ。飲食業なら、コオロギに限らず、同様の食材を取組みに生かせないか探ってみるのも良いでしょう。

     

    参照:無印良品のコオロギせんべい ネットストアにて先行販売します 

    写真(株式会社良品計画 | MUJI NEWS)

     

    ユーザー参加型でSDGsを推進していく無印良品

    誕生時から社会や環境に配慮したものづくりを進めているのが無印良品です。2022年3月には「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」の企業ブランド調査にて、サステナブル・ブランド第2位を獲得。

    そんな無印良品のSDGs取組みの要点は以下の通りです。

    • 本業と直結させた取組みを行い利益にもつなげている
    • 利用者参加型の取組みをしている
    • 自社で可能な改善を少しずつ進めている

    さらに2017年の豊島区を皮切りに、直近では益子町・春日井市・宮代町と包括協定を締結するなど、地域活性化への取組みも始まりました。企業のSDGs活動に対し、さらに消費者の関心が高まれば、無印良品の利益にも大きく貢献するでしょう。

    「自社でSDGsを推進すべきか」「どう取り組んでいくべきか」と悩んでいる企業も少なくありません。しかし業種を問わず、無印良品のようにユーザーが楽しみながら参加できる取組みを探す方法もあります。ユーザーを巻き込みつつ、自社の利益につなげられる目標がないか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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