クボタのSDGs取組み事例。「食料・水・環境」分野で展開する事業のひとつひとつで、持続可能な社会に貢献

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    トラクターやコンバインの製造・販売会社として馴染み深いクボタ。鋳物の製造・販売からスタートし、130年近くもの長い歴史を誇るメーカーです。

    国内首位、世界シェア第3位の大企業として農業機械、水道用鉄管、工作用機械など様々な製品を世界中に送り出しています。現在では鋳物の製造・販売だけでなく、多方面に事業を展開し、SDGs(持続可能な開発目標)に関しても熱心な取組みが行われています。

    様々な企業がSDGsについて模索している中、クボタのSDGsについての取組みはどのように行われているのでしょうか。事例と共にお伝えします。

    写真(Mizantroop / Shutterstock.com)

     

    【Pick UP】「ツヅケル」が注目したクボタのSDGs取組みポイント

    • メイン事業から多方面に展開する取組み姿勢
    • サプライチェーンで発生した課題に対してすべてのソリューションを担うというスタンス
    • 長い歴史の中で培われてきた信頼と実績

    クボタのSDGs取組み方針

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    クボタは“For Earth, For Life”のブランドステートメントを掲げ、美しい地球環境を守りながら、私たちが豊かに暮らせる社会づくりに貢献することを約束しています。

    『「食料・水・環境」分野で世界に貢献することが、持続可能な社会の発展につながる』をサスティナビリティの方針・基本的な考え方に据えており、まさにクボタの事業における柱でもあります。私たちの生活に欠かせないこの3つの要素を一体として捉え、最先端技術などを投入し循環させることで、持続可能な社会を創ることを目指しています。

    クボタのSDGs取組み方針は、事業の柱である「食料・水・生活環境」を中心に5つのグループに分け、SDGs目標の17項目全てにわたって環境保全や生活環境分野への取組みが行われています。

    5つのグループは次のように分けられています。

     

    1. 【事業を通じて行われるサスティナビリティ・食・水・生活環境】
    2. 【事業の土台を担うサスティナビリティ・環境保全への取組み】
    3. 【事業の土台を担うサスティナビリティ・社会との関わり】
    4. 【事業の土台を担うサスティナビリティ・従業員との関わり】
    5. 【事業の土台を担うサスティナビリティ・ガバナンスへの取組み】

     

    次の章からはクボタのSDGsの取組みの中で、特に重要な次の5つの項目についてお伝えしていきます。

     

    【クボタの最優先事項5項目】

    参照:企業理念 | クボタについて | 株式会社クボタ

     

    クボタのSDGs取組み事例①:食料分野への取組み

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    クボタではSDGsの目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」を掲げて、食料分野への取組みが進められています。
    クボタは、世界人口が100億人に迫っていることから起こる食糧不足と、農業における世界的な課題として、農家の高齢化や人手不足という2つの課題を解決するため『食料の安定生産と農作業の効率化に向けて』取組みを行っています。

    それは多岐に渡り、IoTを導入したコンバインやトラクターなどの農業機械の開発、農産物の付加価値を見える化する品質測定技術などが導入されてきました。
    機械の開発や製造だけではなく、農産物の加工・消費など各工程のサポート、玄米使用のパンやパスタの開発といった、農業全般のソリューションを担う取組みも行われています。

     

    農業全体の問題を考慮することは大規模な開発やシステムなどが必要になりますが、創業当初から農業機械の開発に力を入れてきた企業として、クボタがこの分野をさらに開拓し、力を入れていこうとしているかがうかがえますね。
    高齢者問題や農業の大規模化など、人手不足が顕著な農業分野ですが、国内のみならず世界中でクボタが培ってきた農業機械の技術が今後さらに必要とされるのではないでしょうか。

    参照:クボタ公式サイト「気候変動への対応」

    写真(クボタ公式サイト「クボタのSDGsへの貢献」)

     

    クボタのSDGs取組み事例②:水環境分野への取組み

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    クボタの事業の3本柱の一つである「水」。創業当初より上水から下水まで、幅広く事業を展開してきた世界トップクラスの技術を誇ります。(SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標6「安全な水とトイレを世界に」)
    クボタは、世界では3人に1人が安全な飲み水を入手できていない現状や、先進国を中心とした水インフラの老朽化、そして、世界中で発生している洪水や豪雨などの自然災害の問題を捉え『世界の水循環を支え、安全な水の供給と再生をめざす』ことに取り組んでいます。

    具体的な例ではバングラデシュで上水道の普及率を上げるために、クボタが製造したダクタイル鉄管が敷設されました。このプロジェクトにより、市の上水道普及率が全体の47%から85%に大幅に増加しています。

    地震の多いアメリカのロサンゼルス市では、ライフラインを守るために耐震型のダクタイル鉄管が採用されています。

    このように水環境分野においても技術の粋を集めたクボタの知見は、世界中で採用されています。阪神淡路大震災のような大災害においても、一切被害がなかったクボタの水道管の技術はクボタが長い間培ってきた技術の結集で、ビジネスにおいても相互に展開できるチャンスが広がっています。日本特有の厳しい自然環境の中、自社で磨き上げた技術やサービスを、SDGs文脈の中で垂直展開だけでなく世界に横展開できる環境を整備していくことも大切でしょう。

    参照:クボタ公式サイト「水分野での取組み」 「水環境ソリューション」
    写真(クボタ公式サイト「クボタのSDGsへの貢献」)

     

    クボタのSDGs取組み事例③:生活環境分野への取組み

     

    生活環境分野への取組みも、クボタの主要事業の一つです。(SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」)
    世界人口の急増に伴い、世界では急速な都市化が進み社会・産業基盤整備の需要が高まっています。一方で歴史ある都市では、老朽化したインフラの改修と景観の保全の両立をしていかなければなりません。これらの問題に対して『社会と産業の基盤を支え、快適な生活環境の創造と保全を実現』する取組みをクボタは展開しています。

    環境保全への目標として、再生可能エネルギーの利用率を2025年に1%以上にすることを掲げているクボタ。廃棄物を処理するための環境リサイクル技術や、厳しい排ガス規制に対応したエンジンの開発も手掛けています。

    クボタの小型建設機器は、路地や昔ながらの建造物が数多く残るヨーロッパの街でも工事がしやすく、欧米や北米で高いシェア率を誇ります。
    外国の美しい街並みに、クボタの技術が活かされていると思うと感慨深いものがありますね。

    参照:クボタ公式サイト「環境分野での取組み」 「環境ソリューション」 「環境保全への取組み」
    写真(クボタ公式サイト「クボタのSDGsへの貢献」)

     

    クボタのSDGs取組み事例④:気候変動への対応

     

    気候変動への対応は、積極的に取り組んでいる分野です。(SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」)

    具体的な活動内容は、2030年に国内グループのCO2排出量を2014年度比で30%削減することを目標に、インターナルカーボンプライシングを導入しています。このシステムは、組織が内部的に炭素価格付けを実施することができ、設備のエネルギー使用量や削減効果を算出することができます。

    導入により、2021年度には16.5%の削減に成功しました。製造工程において使用される設備や照明、空調などの省エネ化、燃料転換などの取組みも進められています。

    このような取組みは大規模な資産を投入することなく取り入れることができ、中小企業でも比較的簡単に取り組める良い事例ではないでしょうか。

    グローバル全拠点においては、LED照明の利用拡大を進め、省エネ化に努めています。
    異常気象による洪水や渇水などの対策として、災害時にも強いトイレ配管システムやダクタイル鉄管の配置、セラミックろ過装置の設置など、産業と技術革新の基盤をつくる取組みも提供されています。

    参照:クボタ公式サイト「クボタのSDGsへの貢献」 「気候変動への対応」

    写真(クボタ公式サイト「気候変動への対応」)

     

    広報PRの取組み例:オンラインイベント・GROUNDBREAKERSの開催で農家とつながる

     

    コロナ渦でも農家とつながりたい、農家の課題解決に取組みたいと2021年、2022年にオンラインイベントGROUNDBREAKERSを開催しました。

    クボタの社長自らがイベントに登場し、農家の皆様と農業の未来について考え、情報を共有しています。

    自身のビジョンを描いて創意工夫を重ねながら農業に従事する人たち。先駆者という意味のGROUNDBREAKERSからは、クボタ自らが常に先駆者でありたいという意味も込められているような気がします。

    このイベントからはクボタが農業を支える人たちと寄り添い、選ばれる企業であり続けたいという強い思いが伝わってきます。顧客に寄り添いソリューションを導きだすことで、自社のビジネスチャンスに繋げるというウインウインの関係を構築していることが分かります。

    参照:クボタ公式サイト「KUBOTA PRESS」

    写真(クボタ公式サイト「KUBOTA PRESS」)

     

    クボタのSDGs取組み事例⑤:多様な生物の保全

     

    多様な生物の保全についてもクボタで色々な取組みがなされています(SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさを守ろう」)。具体的には、近年大規模な破壊が懸念されるサンゴの再生ボランティア、稚魚放流、植樹活動や野生鳥獣の保護です。その他にも水源地の清掃活動、水源林の伐採作業や、落ち葉回収といった取組みが行われています。


    これらの活動は比較的簡単に取組みやすく、地域社会と連携することもできます。地域社会に溶け込み貢献しようというクボタの理念がここからも伝わってきますね。

    ユニークな取組みとして、「クボタの森」と名付けられた玉川上流域の水道水源林で、毎年クボタの研修生30~40人が森づくりに参加するプロジェクトがあります。研修生は植栽や除草作業を通して、水道の源流である林がどのように守られているのかを体験し、学ぶ機会を得ます。

    クボタで芽生えた小さな芽がやがて大きな木となっていく。
    クボタの理念である循環型の事業がここでも活かされています。

    参照:クボタ公式サイト「生物多様性の保全」 「クボタのSDGsへの貢献」

    写真(クボタ公式サイト「生物多様性の保全」)

    広報PRの取組み例:動画「クボタとSDGs」で環境の大切さを啓蒙する

     SDGsについてどのような理念や活動を行っているのかを伝えるために、やさしいイラストと語り口で発信するクボタからのメッセージ動画です。

    クボタのメイン事業である耕運機や水道管の製造・開発を紹介しながら、「美しい地球を守ろう」「すべての人に安心で安全な生活を」と呼びかけ、環境を守ることの大切さへの理解を促しています。

    参照:株式会社クボタYouTube公式アカウント
    参照:クボタ公式サイト「クボタとSDGs」

     

    クボタのSDGsの取組みから見えるビジネスのヒント

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    「大丈夫。それ、クボタがやる。」この一言のフレーズにクボタの企業活動のすべてが表れています。

    日用品や衡器用鋳物の製造・販売を始めた創業当時から、クボタの企業理念は創意と勇気を持って未知の世界に踏み込んでいくこと、人々の幸せを願って明日を拓いていくことでした。

    本業を軸に、縦横無尽に事業を展開していくクボタの姿勢から、私達もヒントを掴むことができるかもしれません。自社で行っている取組みを一度網羅して、SDGsの取組みに繋げることができないか、再考するところから始めてみると良いかもしれませんね。

     

    クボタによるSDGsの取組みは次の4点がポイントになります。

    ・創業からの3本柱である食料・水・生活環境を中心に取り組む

    ・大企業の強みを生かした大規模な環境システムの開発や製品の導入

    ・事業での上流から下流工程までのすべてのソリューションを担う

    ・利益追求だけではなく事業を通して社会・人とつながる活動を行う

     

    水道管システムの配備やCO2を削減するといった取組みは、大企業であるクボタならではの取組みですが、水資源の清掃や電力の省エネといった取組みは、中小企業ならず個人でも今すぐにできる取組みですね。

    SDGsの取組みで何を導入したらよいか分からない、と迷っている企業の方は、社内で出来る小さな取組みから始めてみてはいかがでしょうか。

    一人一人が小さな行動を起こすことで、SDGsの理念である「地球環境をより良くする」一歩に繋がっていくのだと思います。

    参照:クボタ公式サイト「ホーム」 「沿革」

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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