ユーグレナのSDGs取組みとは?多数の賞を受賞する同社の取組み方針と事例をご紹介

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    株式会社ユーグレナ(以下ユーグレナ)は、日本でも有数のバイオテクノロジー企業です。藻の仲間であるミドリムシを活用した食品や化粧品の製造販売、バイオ燃料の研究などを行っています。

    2005年の創業以降、栄養不足・気候変動・食糧危機など、ユーグレナは積極的に社会的な課題へと積極的に取組みを続けてきました。取組みによりユーグレナは、これまでにSDGs関連で多くの賞を受けています。

    ユーグレナがどのようにSDGsに取組んでいるのか、チェックしていきましょう。

    写真(株式会社ユーグレナ |ユーグレナのニュース|ニュースリリース

     

    ユーグレナのSDGs取組み方針

    ユーグレナでは2020年の創業15周年を機に、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を制定。

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    またサステナビリティを実現するために、8つの重要課題を特定しました。

     

    1. 生涯にわたる健康の実現
    2. 気候変動への具体的な解決策
    3. 発展途上国の栄養不良の解消
    4. 持続可能な商品供給の実現
    5. 持続的な環境負荷低減
    6. 多様な人材が自由に働ける職場づくり
    7. 経営基盤の強化
    8. ステークホルダー・エンゲージメント

    さらに8つの重要課題に対して、「事業を通じて課題を解決する」「環境・社会・ガバナンスに配慮した経営基盤を構築する」という2通りのアプローチを実施中です。

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    今回本記事ではユーグレナが重点的に取り組んでいる5つの目標について、具体的な取り組み事例をご紹介いたします。

    参照:サステナビリティを実現するための重要課題

     

    ユーグレナのSDGs取組み事例①定款上の事業目的にSDGsの目標を反映

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    ユーグレナの取組みで際立っている点は、事業目的自体をSDGsに合致させているところにあります。2021年8月、ユーグレナは「定款上の事業目的についてSDGsを反映した内容に全面刷新する」と決定しました。この取組みは、SDGsすべての目標に関係するものです。

    もともとユーグレナでは、海外進出に向けて決算期を9月から12月に変更するために定款変更が決まっていました。その定款変更に伴い、すべてを見直して事業目的もSDGsに合わせた形です。

    取締役会ではリスクを指摘する声もあったと社長は語っています。実際に、定款変更を行った臨時株主総会でも、議案に対する賛成率は91パーセントにとどまりました。そこでユーグレナでは「ベンチャー企業はイノベーションこそが醍醐味」だと株主を説得。その結果として世界でも稀有な、SDGsを中心とした事業を行う企業となったのです。

    取組みは高く評価され、Beyond Sustainability 2021では他の取組みと合わせて「環境賞」を受賞しています。

    より本気で取り組むなら、SDGsを中心に据えて事業展開をするのも方法の1つです。もちろん提案時点では、全面的な賛成は受けられないかもしれません。しかし、社会が持続可能性を志向していく中では中・長期的成長を実現するための有効な選択肢といえます。持続可能な社会・持続可能な事業を考えるにあたって、ユーグレナの方法は参考にできるでしょう。

     

    参照:定款上の事業目的を、SDGsを反映した内容に全面刷新 | 株式会社ユーグレナ

    参照:ユーグレナ、定款上の事業目的にSDGsの17目標を反映 創業社長が見すえる2025年の社会とビジネス:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル

    参照:Beyond Sustainability(ビヨンド・サステナビリティ) | BUSINESS INSIDER JAPAN

     

    ユーグレナのSDGs取組み事例②貧困農家の収入源と食糧を支援

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    ユーグレナは、ユーグレナ社創業のきっかけの地であるバングラデシュの貧困農家に緑豆の栽培ノウハウを伝授。そのうえで収穫された緑豆を高値で購入して半分を日本に輸出し、残りを現地の貧困層に原価で販売しています。さらに国連世界食糧計画との連携により、ミャンマー・ラカイン州から避難したロヒンギャ難民へも食糧を供給しました。ロヒンギャ難民支援を官民連携で実践したのは、ユーグレナが初です。

    収入源と食料の支援は、SDGsの目標1「貧困をなくそう」・目標2「飢餓をゼロに」・目標8「働きがいも経済成長も」などに該当します。この取組みにより、ユーグレナは第5回ジャパンSDGsアワードでSDGs推進本部長を受賞しました。

    貧困や飢餓に取り組むなら、地産地消を行っているユーグレナは良いロールモデルです。単に食料を支援するだけでは、その先に続けられません。将来を見越しての取組みが必要です。目先の支援だけでなく、貧困や飢餓に対して持続可能な取組みを模索してみてはいかがでしょうか。

     

    参照:ジャパンSDGsアワード

    参照:ユーグレナ社、第5回ジャパンSDGsアワードにて「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞しました | 株式会社ユーグレナ 

    写真(Mr. Mixers Stock / Shutterstock.com)

     

    ユーグレナのSDGs取組み事例③ユーグレナGENKIプログラム

    画像参照:1日当たりクッキー 配布生徒数(人) 

     

    ユーグレナでは、パートナー企業3社とともに2014年4月から「ユーグレナGENKIプログラム」を開始しました。プログラムでは、栄養豊富なユーグレナ入りクッキーをバングラデシュの子どもたちに無償配布。ユーグレナ社とグループ会社の全商品、およびパートナー企業の指定商品の売り上げから一部が、プログラムの運営費用に充当されています。

    2022年3月末までの段階で、13,250,263食分のクッキーがバングラデシュに届けられました。子どもたちにはクッキーが配布されるだけでなく、食育や衛生教育なども実施されています。

    この取組みは、SDGsの目標1「貧困をなくそう」・目標2「飢餓をゼロに」などにつながるものです。

    自社の取組みを大きく広げていきたいと考えるなら、いかにユーザーや他社を巻き込むかが大きな鍵です。企画意図への賛同が得られると、他社との協働も可能になります。ユーグレナのように、初めからパートナーを探して共同で取り組む方法も良いでしょう。SDGsに関連づけて異業種と連携できる可能性もあります。持続可能とするためにも、大きな広がりにつながる取組みを検討してみてはいかがでしょうか。

     

    参照:株式会社ユーグレナ|ユーグレナGENKIプログラム 

     

    ユーグレナのSDGs取組み事例④バイオ燃料の開発・生産

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    ユーグレナでは、10年以上前からバイオ燃料の研究開発をスタートさせています。

    2018年、ユーグレナは日本初となるバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工。プラントの竣工を機に、ユーグレナでは日本をバイオ燃料先進国にすることを目標とした『GREEN OIL JAPAN』を宣言しました。

    さらに2020年にはバイオディーゼル燃料、2021年にはバイオジェット燃料を完成させて供給を開始しています。現在では30社以上の企業・団体から賛同を得ており、バイオ燃料の供給先は増加中です。

    この取組みは、SDGsの目標7「エネルギーをクリーンに そしてみんなに」目標13「気候変動に具体的な対策を」目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などにあたります。バイオ燃料の開発を含む取組みで、ユーグレナは2021年にSustainable Japan Award 2021で「大賞」を受賞しました。ユーグレナは次世代バイオ燃料の供給を牽引する企業でしょう。

    バイオ燃料への取組みは決して簡単なものではありませんが、だからこそ社会的な評価にもつながる、価値のある取組みとなります。新産業を検討しているのなら、バイオ燃料を候補の1つとして、自社の事業につなげられないか考えてみるのも良いでしょう。

     

    参照:株式会社ユーグレナ|ユーグレナの事業紹介

    参照:サービスステーション(ガソリンスタンド)で ユーグレナバイオディーゼル燃料を一般向けに初販売 | 株式会社ユーグレナ 

    参照:Sustainable Japan Award 受賞企業・団体・自治体発表! - Sustainable Japan by The Japan Times 

     

    ユーグレナのSDGs取組み事例⑤商品容器の変更

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    食品・化粧品を取り扱うユーグレナは、商品容器の変更も順次実施しています。代表的な取組みは以下のようなものです。

    • 容器を石油由来プラスチックからサトウキビ由来樹脂に変更する
    • 既存の飲料用ペットボトル商品を全廃する
    • 一部商品でストローの有無を選択できるようにする
    • 個包装をアルミパウチ包装に変更する
    • エアパッキンの使用を削減する

    これらの取組みは、SGDsの目標12「つくる責任つかう責任」などにつながるものです。

    たとえばジャータイプの化粧品をチューブタイプにすると、石油由来プラスチックが最大90パーセント削減できます。チューブタイプなら軽量で、メール便での配達も可能。再配達は不要であるため、輸送にかかるCO2排出量を削減できます。

    自社が製造や販売に関わる企業なら、目標12は取り組みやすいはずです。石油由来プラスチックを植物由来樹脂に変えるのも方法の1つ。ユーグレナのように、輸送コストを抑えてCO2削減につなげられる可能性もあります。自社の製品で変更できるものがないか、確認してみるのも良いでしょう。

     

    参照:ユーグレナのスキンケアブランド『one(ワン)』オールインワンクリーム容器変更で石油由来プラスチック量を最大90%減※1へ | 株式会社ユーグレナ

    参照:商品パッケージの環境配慮 

    参照:環境への対応 | ユーグレナの企業情報 | 株式会社ユーグレナ

     

    SDGsを中心にして事業を展開しているユーグレナ

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    定款を変更し、SDGsを事業の中心として据えているのがユーグレナです。食品やバイオ燃料への取り組みを考える企業にとって、ユーグレナは特に良い模範となるでしょう。

    ユーグレナでは、以下3つのビジネスを通じてサステナビリティへの貢献を行っています。

    • ヘルスケア事業……いきいきとした毎日を送る
    • バイオ燃料事業……未来を守るエネルギーを開発し販売する
    • ソーシャルビジネス……豊富な栄養を当たり前にする

    SDGsをビジネスの核にする企業も今後は増えていくはずです。特にベンチャー企業なら最初からそこを軸とした事業を興すことも可能です。ただしSDGsとビジネス両方の推進を模索していく必要があります。

    ユーグレナのように事業目的自体がSDGsを核にしたものになると、事業の成功は社会問題の縮小に直接的につながります。この構図は「その企業を応援したい」というモチベーションにもつながりやすいため、投資家などからの応援も期待できるでしょう。SDGsに本腰を入れて取り組むのなら、ユーグレナの事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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