ソフトバンクのSDGs取組みとは?戦略策定にわずか1.5か月!驚異のスピードと事業の幅広さで圧倒

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    ソフトバンク株式会社(以下ソフトバンク)は、日本国内でも大手の電気通信事業者です。主な事業は移動通信サービスの提供や携帯端末の販売、固定通信サービスの提供など。2020年度の売上高は5兆2,055億円。主要子会社には、Yahoo! JAPAN・PayPay・LINEなど、圧倒的なユーザー数を誇る企業を多数有しています。

    日常生活とも深く関わるサービスを多数提供しているソフトバンクでは、どのようにSDGsを推進しているのでしょうか。最速でSDGs(持続可能な開発目標)を推し進めているソフトバンクについて、課題や取組み事例などをお伝えしていきます。

    写真(Tupungato / Shutterstock.com)

     

    【Pick UP】「ツヅケル」が注目したソフトバンクのSDGs取組みのポイント

    • 本業の情報通信技術を主軸とした取り組み
    • グループ企業との掛け合わせによる独自のSDGs取り組みの開発
    • 「今」ではなく「未来」を見据えた先取りの姿勢

     

    ソフトバンクのSDGs取組み方針

    ソフトバンクでは、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトを設定。このコンセプトのもと、持続可能な社会の発展に向け、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています(全てはSDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」が軸となっています)。

    マテリアリティは「外部の重要度」と「自社の重要度」をもとに決定したものです。「外部の重要度」は、有識者や投資家などによる社会貢献への要請内容をもとにしています。「自社の重要度」は、SDGs推進委員会での協議や、事業計画などをベースに策定。さらに地球環境問題への取り組みも重要な経営課題としています。

     

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    出典:ソフトバンク「SDGsの取り組み」

    今回はソフトバンクの推進するSDGsについて、取り組み事例をご紹介いたします。

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例①:DXによる社会・産業の構築 〜物流業界のDX支援〜

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    まずはソフトバンクの第一のマテリアリティ「DXによる社会・産業の構築」についての事例をご紹介します。

    2020年4月、ソフトバンクと日本通運株式会社は、物流業界のDX支援を目的に「MeeTruck株式会社」を設立しました。MeeTruck株式会社では、中小企業向けに、運送業務を可視化して共有できるサービスを提供しています。配車表・運送指示・完了報告などをデジタル化することにより、運送業務の作業効率改善が目指せる仕組みです。

    日本の高品質な物流は、大部分が現場で働く人々の努力により成り立っています。そして物流を支える運送会社の多くは中小企業であり、深刻な人手不足に悩まされている状況です。従来アナログで対応していた業務をデジタル化すれば業務の効率化が見込めます。

    物流業界のDX支援は、ソフトバンクにとってもビジネスの発展に直結します。SDGsを通して、本業まわりの業務改善にも直結した非常に合理的な取り組みであるといえます。

    出典:モノは必ず動き続ける。日本の高品質な物流をデジタルで下支えしていく|SoftBank SDGs Actions #1

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例②:人・情報をつなぎ新しい感動を創出 〜デジタルデバイドの解消〜

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    出典:デジタルデバイド解消は、スマホのタップから。便利で楽しいスマホライフを多くの人に届けたい|SoftBank SDGs Actions #2

    ソフトバンクの掲げるマテリアリティの2つめが、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」というものです。具体的な取り組みとして、ソフトバンクでは全国のショップでスマホ教室を開催し、デジタルデバイドの解消に貢献しています。デジタルデバイドの解消は、SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」につながるものです。

    スマホ教室を担当しているのは、全国のソフトバンクショップに在籍する1,200名のスマホアドバイザーです。スマホアドバイザーは、基本的な操作をベースとしてスマホ教室のカリキュラムを作成。これまでに42万回以上ものスマホ教室が開催されました。主にシニア世代を対象として、LINEの使い方からe-Tax、新型コロナウイルスワクチン接種のWeb予約などまで幅広くサポートしています。

    スマートフォンの普及により、誰もが鮮度の良い情報を得られ、生活の利便性を上げられる時代になりました。しかし操作方法が分からなければ、その恩恵は受けられません。人口ボリュームの大きいシニア世代を中心に、自社の技術を誰もが有効に活用できるようサポートするのは、ソフトバンクならではの着眼点でありまた、全国にショップがあるソフトバンクだからこそできる取り組みであるといえます。

    参照:デジタルデバイド解消は、スマホのタップから。便利で楽しいスマホライフを多くの人に届けたい|SoftBank SDGs Actions #2

     

    オウンドメディア「ソフトバンクニュース」での発信

    2022-08-03ソフトバンクは自社のSDGsの取り組みを幅広く知ってもらうため、オウンドメディア「ソフトバンクニュース」にて実際の取り組み内容を記事として発信しています。店頭での取り組みの様子や、実際の利用者の声などが写真を交えてわかりやすくまとめられています。

    出典:オウンドメディア「ソフトバンクニュース」

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例③:テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献 〜水インフラの推進〜

    ソフトバンクによるSDGsへの取組みのなかで、意外にも感じられるものの1つが、次世代水インフラプロジェクトの推進です。この水道インフラの維持は「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」というマテリアリティにつながっています(SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」)。

    1955~1972年の高度経済成長期に整備された水道インフラは、老朽化しつつあります。しかし現状の水道料金による収入では水道インフラの維持が困難で、税金や地方債の投入が行われているのです。生活に直結する水道インフラは、放っておけばいずれ深刻な状況に陥る可能性もあります。

    2021年5月、ソフトバンクは、自律分散型水循環システムの開発を手掛けるWOTA株式会社との資本・業務提携を発表。WOTA株式会社が有する水処理技術を活用し、新たな水の供給システムを

    目標として、次世代水インフラプロジェクトを進めています。

    実は水資源の豊富な日本では、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の目標に取り組む企業が少ないのだそうです。しかし冒頭の水道管の写真のようなインフラの劣化を補うために必要な予算は年間10兆円。これはなんと国家予算の約1/10です。将来に持ち越すことで最もリスクの高い施策のひとつともいえる取り組みに着目し、独自のアプローチで推進することで将来的に大きな成果と評価を得られるかもしれません。

    出典:AI、IoTを活用した再生技術で、持続可能な“水”インフラを社会に広げていく|SoftBank SDGs Actions #4

     

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例④:テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献 〜CO2排出量削減〜

     

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    出典:CO2排出量削減への貢献が評価。ゲーム感覚で節電できる「エコ電気アプリ」が「SDGs特別賞」を受賞

    「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」のマテリアリティをもとにした取り組みは、水インフラだけではありません。ソフトバンクでは、スマホを使ってユーザーに節電を依頼する「エコ電気アプリ」を提供。「ソフトバンクでんき」と連携したアプリでは電気代の確認や予測が可能で、節電に協力するとPayPayボーナスが付与されます。

    2020年12月1日から2021年3月31日までのあいだに、ソフトバンクでは「節電チャレンジ」を実施しました。約3万2,000件のユーザーを対象とした節電チャレンジでは、約122トンのCO2排出量削減を達成(SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」)。

    ユーザーと連動した「節電チャレンジ」を始めとする取り組みは大きく評価され、ソフトバンクではMCPC award 2021「SDGs特別賞」を受賞しています。継続して取り組みを続けることにより、多くのCO2排出量削減が見込まれるでしょう。

    Zホールディングス傘下のPayPayやソフトバンクでんき等のサービスネットワークを活かした立体的なSDGsへの取り組みも、ソフトバンクならではのダイナミズムです

    参照:CO2排出量削減への貢献が評価。ゲーム感覚で節電できる「エコ電気アプリ」が「SDGs特別賞」を受賞

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例⑤:質の高い社会ネットワークの構築 〜新たな災害対応システムの運用〜

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    「質の高い社会ネットワークの構築」を課題とするソフトバンクでは、2021年9月から、新たな災害対応システムの運用を開始しました(SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」)。災害に強い通信インフラを作るだけでなく、インフラへの支障が出た時に最速で復旧するための取り組みを強化したのです。システムの本格的な運用により、災害時に通信基地局に支障が出ても、迅速に復旧できる見込みとなっています。

    新たな災害対応システムでは、災害によって支障が出た基地局があると、監視システムがアラートを発報して被災データを蓄積します。その被災データをもとに本部では復旧手段を検討し、システムを通して現地に作業指示を出すのです。システムはスマートフォンからも利用できるため、スピーディーな完了報告も可能となります。

    2011年に発生した東日本大震災では、通信基地局が大きなダメージを受け、被災地では携帯電話が使用できない状態が続きました。当時よりも通信機器は飛躍的に進歩しましたが、今後も大規模な災害があれば、通信機器は影響を免れません。新システムでの一元管理により、今後の災害発生時にはスムーズな復旧作業が進められるでしょう。

    次の災害が起こるまでは誰も気づかないかもしれないインフラ対策。それを粛々と進めることこそが、未来を担うにふさわしいリーディングカンパニーの姿勢そのものであるといえます。

    参照:通信は生活に欠かせないインフラ。最速復旧のために新たな「災害対応システム」を構築|SoftBank SDGs Actions #5

     

    ソフトバンクのSDGs取組み事例⑥:レジリエントな経営基盤の発展 〜女性管理職比率20%に〜

    20210923212812出典:多様性の一丁目一番地。ソフトバンクで加速する女性活躍推進の取り組み|SoftBank SDGs Actions #6

    「レジリエントな経営基盤の発展」のため、ソフトバンクでは多様な人材が活躍する職場環境の構築も推進しています。2021年6月22日、ソフトバンクは「2035年までに女性管理職の比率を現在の3倍である20%にする」と発表。目標の達成に向け、外部の有識者を迎えた「女性活躍推進委員会」を発足させました(SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」)。

    ソフトバンクに限らず、日本の企業ではリーダーや管理職になれる女性が多くありません。入社時は同程度の仕事量やスキルを求められるにも関わらず、ジェンダー平等が実現されていない状況です。

    ダイバーシティ&インクルージョンが進むと、組織内の視野も大きく広がっていくでしょう。これからの時代に必要なビジネスの創造性には、まずメンバーの視点の多様性が基盤となります。積極的にジェンダー平等を推進するソフトバンクは、未来に向けてのクリエイティビティの推進をしているともいえます。

    参照:多様性の一丁目一番地。ソフトバンクで加速する女性活躍推進の取り組み|SoftBank SDGs Actions #6

     

    SDGs推進をビジネスチャンスと捉えるソフトバンク

    SDGs戦略として2020年4月に委員会を設置したソフトバンクは、短期間で多くの取り組みを実施しました。全社の戦略策定に要した期間はわずか1.5か月。すでに10以上のESG評価を取得しています。

    ソフトバンクが最速でSDGs推進できた理由は、以下の3つです。

    • 推進体制の構築
    • 社内外での積極的なコミュニケーション
    • 自社の事業での課題解決の実践

    ソフトバンクでは、SDGs推進を自社のビジネスチャンスと捉えて推進しているのです。またSDGsを紐づけてのKPI設定も開始。そんな主体性を持った取り組みは、ソフトバンクの利益にもつながっています。

    ソフトバンクのSDGs取り組みで最も印象的なのは、本業の情報通信テクノロジーを主軸に、関連企業も含めた自社のリソースを立体的に掛け合わせることによって「SDGsの取り組み内容自体で他社との圧倒的差別化を図る」という姿勢です。そしてそのスピード感。横並びの他社を伺いつつ進めるのではなく、自ら率先してSDGsのカタチを切り拓く。それは未来の社会への種まきであると同時に、未来企業であるソフトバンク自体への種まきでもあるといえます。

    SDGs推進においては、戦略やマテリアリティの策定で悩む企業も少なくありません。戦略やマテリアリティの策定で悩むなら、まずは自社が本業で抱える課題の解決策をSDGsとつなげられないか、検討してみましょう。

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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