SDGsウォッシュとは?問題点や3つの企業事例から気をつけるべきポイントを学ぶ

    法政大学SDGs+(プラス)プロジェクト協力「【Z 世代】SDGs シューカツ解体白書」(仮)

    企業や個人のSDGsへの意識が高まる一方で、問題になっているのが「SDGsウォッシュ」です。持続可能な経営をするために、SDGsウォッシュを避けることが欠かせません。

    企業の社会的責任の有無が持続可能な経営につながるからこそ、SDGsウォッシュへの理解は重要です。この記事では、「SDGsウォッシュ」を解説するとともに、問題点からユニクロやみずほ銀行などの企業の事例まで詳しくお伝えしていきます。

     

     

    【Pick UP】「ツヅケル」が注目したSDGsウォッシュのポイント

    • SDGsウォッシュは、見せかけのSDGs
    • 知識がないままSDGs事業を始めるのは命取り
    • SDGsウォッシュは消費者や投資家へ与える影響が大きい

     

     

    SDGsウォッシュとは?

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    SDGsウォッシュとは、表面的には企業がSDGsの活動をアピールしているが、実績が伴っていない状態のことを表します。例えば、以下のような場合があげられます。

    • 企業の多様性をアピールしているが、女性の離職率が高い
    • 環境に配慮した製品を作っているが、製造過程においての環境負荷が大きい

    など、見せかけの社会貢献がSDGsウォッシュです。

     

    このような悪質な企業が増えることは、「SDGsが胡散くさい」と思われる要因の一つになっているのではないでしょうか。

     

     

     

    どうしてSDGsウォッシュが起こるのか?

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    どうして、SDGsウォッシュは起こるのでしょうか。今回は、SDGsウォッシュが起こる原因を3つにまとめました。

     

    ①CSR活動の報告のため

    企業の多くは、会社の信頼性をあげるために、自社のCSR(社会的責任)活動を報告するレポートを発行します。特に、ここ数年でSDGsに関連した活動を取り入れることが求められるようになりました。

     

    そのため、「よくわからないが、SDGsのロゴやアイコンをホームページにつけよう」「サステナビリティというワードだけでもアピールしておこう」など、取り繕っている企業も多いのが現状です。

     

    つまり、未来の地球のためではなく、目先の会社の利益を重視した結果、起こるといえるのではないでしょうか。SDGsへの貢献は求められていますが、SDGsの取り組みをすることが目的にならないように注意しなければなりません。

     

    参照:新型コロナでSDGsはターニングポイント。ブームで終わらないためには? |ニュースイッチ

     

     

    ②知識不足

    二つ目は、事業やプロジェクトを企画する段階で、知識が不足しているからです。「SDGsがどういう目標なのか」「成功事例とはどのようなものなのか」など、内容を深く理解できないことで、SDGsウォッシュが生じることがあります。

     

    例えば、レジ袋が有料化になったから、プラスチック製のエコバッグを大量生産した場合。これは本当にエコなのでしょうか。たしかに、エコバッグの需要は高まるかもしれません。けれども、エコバッグを大量生産することで、結果的にプラスチックの使用が増加してしまいます。さらに、洗濯するたびにマイクロプラスチックが流れ出てしまうのです。

    レジ袋を有料化する理由やプラスチックと海との関係性などについて学びを深めていれば、ちがう手立てがあったかもしれなません。

     

    このように「SDGsがブーム」「SDGsをアピールすれば、高くても売れるから」などの理由で、知識もないまま、安易に取り組んでしまうのは危険です。必ずSDGsについて理解を深めた上で、取り組むようにしましょう。

     

     

    ③持続性がない

    SDGsの取り組みで大切なことは持続可能かどうかです。けれども、SDGs関連のイベントや募金活動など、単発で終わっている場合があります。実行したことは評価すべき点ではありますが、無理なく続けられる活動の方がより価値は高くなります。

     

    特に、本業と全く関係のないことを始める場合。企業の強みを生かせず、苦しくなってしまいます。これまでの事業と無関係の社会貢献を始めることは、SDGsウォッシュになりかねません。

     

     

     

    SDGsウォッシュとグリーンウォッシュのちがい

    では、SDGsウォッシュによく似た言葉であるグリーンウォッシュとのちがいは何なのでしょうか。

     

    グリーンウォッシュとは、「グリーン」と「ホワイトウォッシュ(ごまかす)」をかけ合わせた言葉。エコな経営を消費者や投資家にアピールし、環境にやさしい企業であると思わせる戦略です。

     

    グリーンウォッシュの中で、SDGsに特化したものが「SDGsウォッシュ」と呼ばれるようになりました。つまり、SDGsウォッシュとグリーンウォッシュは密接に関係しているといえます。

     

     

     

    SDGsウォッシュの問題点

    では、SDGsウォッシュが与える影響とは、どのようなものなのでしょうか。SDGsウォッシュの問題点を以下にまとめました。


    ①消費者へ誤解を招くサービスや商品の提供

    環境意識が高い消費者の場合、「環境保護」「エコな商品」「社会貢献になる」などのアプローチがあることで、購入を決めることが多いです。本当に未来がよくなる商品なら問題ありません。けれども、SDGsウォッシュの商品ならば、「SDGsの貢献になるから」と思って買った消費者がだまされてしまうことになります。

     

     

    ②投資家への期待を裏切る

    投資家も、企業の社会貢献度を加味しながら投資を決める場合があります。特に近年は、ESG投資(環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資)という考え方が注目されています。表面的なSDGsの活動をアピールして、資金を集めることは、投資家への裏切り行為です。

     

     

    ③持続可能な経営が困難になる

    SDGsウォッシュは、短期的にみると、利益や資金の増加につながるかもしれません。しかし、長期的に考えるとどうでしょうか。

     

    SDGsが表面的なアピールで、実際は環境破壊に加担していたことが明らかになれば、その企業は消費者と投資家から社会的信頼を失います。信頼を回復することが極めて困難なため、持続可能な経営は非常に厳しくなってしまうでしょう。

     

    参照:金融庁

     

     

     

    SDGsウォッシュの企業事例

    では、「SDGsウォッシュではないか」と危惧された企業の事例とは、どのようなものなのでしょうか。

     

    ①ユニクロ

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    2020年、ユニクロは、「綿生産において、新疆ウイグル自治区に住むウイグル人を強制労働させている」と疑いをかけられました。

    国際人権NGOヒューマンライツ・ナウによると、中国に工場をもつグローバル企業83社がウイグル人を強制労働させており、このうち日本企業は12社あると報告しました。

    この報告を受けたファーストリテイリングは、政治問題のためという理由で、コメントすることはありませんでした。

     

    ユニクロは、公式サイトの中で以下の社会貢献を明言しています。

    ・服のリユースの推奨

    ・難民支援

    ・開発途上国への支援

    ・人権・労働環境への配慮

     

    けれども、「ウイグル問題」を受け、実態が伴っていないため、SDGsウォッシュだと批判されたのです。

     

    (写真:ユニクロ|海外ユニクロにもひろがる難民支援)

    参照:ファストリ柳井会長、ウイグル問題には「ノーコメント」

    参照:ユニクロ|サステナビリティレポート

     

     

    ②みずほ銀行

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    みずほ銀行は、脱炭素社会に関するSDGsウォッシュが問題視されています。2019年に、環境方針として「CO2削減し、気候変動への対応に積極的に取り組む」と表明しています。

     

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    しかし、事業として、同年に石炭産業に投資。その融資額は世界トップとなり、日本ではSDGsに貢献している姿勢を見せながら、海外では二酸化炭素を多く排出する石炭産業に投資をしていたのです。このズレは、国内だけではなく国際NGOからも批判が寄せられました。
    みずほ銀行は、2021年の5月に石炭火力発電所の新設・拡張への投融資に関する方針を厳格化。すでに投融資を決めていた案件もふくめ新規の炭鉱採掘(一般炭)への融資も行わないことを定めました。

      

    画像引用:みずほ銀行|ブランドロゴ

    画像引用:みずほ銀行|マテリアリティ(サステナビリティ重点項目)

    出典:「石炭産業に融資しないで」だから私は銀行口座を変える。“ダイベストメント”に日本のメガバンクはどう向き合うのか。|ハフポスト

    出典:みずほ銀行|みずほのサステナビリティ

    再送-みずほFG、石炭火力発電への融資方針を厳格化 | ロイター通信

     

    ③ジョンソンエンドジョンソン

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    医薬メーカーのジョンソンエンドジョンソンは、人権問題についての批判を受けました。

     

    同社は2020年にアメリカで巻き起こった「Black Lives Matter」という社会運動に賛同していました。この運動は、アメリカで白人警察官の暴行により黒人男性が亡くなった事件がきっかけで始まったもので、「黒人の命を大切にしよう」という想いがありました。

     

    けれども、ジョンソンエンドジョンソンは肌を白くする美白クリームも発売。多様な肌色や人種を認めながら、美白を価値づける姿勢にSDGsウォッシュの疑いがかけられたのです。結果的に、美白クリームの販売を中止。企業体制の見直しをするきっかけになりました。

     

    画像引用:ジョンソンエンドジョンソン株式会社|我が信条(Our Credo)

    参照:ハフポスト|美白製品の一部を販売中止に。ジョンソン・エンド・ジョンソン、「Black Lives Matter」運動を受けた製品批判で 

    参照:ジョンソンエンドジョンソン株式会社|サステナビリティ

     



    SDGsウォッシュと言われない持続可能なビジネスへのヒント

    SDGsウォッシュとは、企業が行う見せかけのSDGsということが分かりました。目先の利益ばかりを求めたり、知識不足のままSDGs事業へ参入したりすることで起こってしまいます。

    日本でもSDGsへの認知度や意識が高まる一方で、「SDGs胡散くさい」という印象を受ける人がいるのは、悪徳なSDGsウォッシュの影響といえるのではないでしょうか。

    自社のSDGsウォッシュは絶対に避けたい場合は、実績のある企業のサステナビリティをしっかり学ぶことからはじめてみてはいかがでしょうか。特に業種が似ている企業からはよりヒントが得られるはずです。

     

    持続可能な経営を実現するためにも、会社全体におけるSDGsへの知識向上と、透明性のあるサステナビリティが必要なのではないでしょうか。

     

     

     

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    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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