NTT西日本グループは、日本のICT企業です。「あしたへーwith you,with ICT.」をコーポレートスローガンに掲げ、通信で培ったテクノロジーの力でワクワクする未来の実現を目指して、様々な活動に取り組んでいます。
長年通信事業を営み、ICTを用いて広い領域で課題解決に貢献しているNTT西日本。もはやインターネットなしでは、わたしたちの生活は成り立たないといっても過言ではありません。そんな通信インフラを支えるNTT西日本が行うSDGsへの取組みについて、具体的な事例を交えながらお伝えしていきます。
写真(rafapress / Shutterstock.com)
【Pick UP】「ツヅケル」が注目したNTT西日本のSDGs取組みポイント
- 本業を通じて顧客と社会の課題を同時に解決する仕組みづくり
- 自社の強みを異分野へ広げる取組み姿勢
- 顧客目線で「必要なもの」と「不要なもの」を見分けることで見つかるSDGsへのアプローチ
NTT西日本のSDGsの取組み方針
NTT西日本グループは、社会の環境変化がもたらす課題をICTで解決する先駆者「ソーシャルICTパイオニア」として貢献し、信頼される企業を目指しています。
SDGsへの対応としては、NTTグループのサステナビリティ憲章の3つのテーマに取組みを分類し、重要活動項目を設定しています。
具体的には、以下の3つのテーマに沿ってSDGsの取組みを進めています。
NTTグループサステナビリティ憲章の3つのテーマと9つのチャレンジ
【NTTグループのサステナビリティ憲章の3つのテーマ】
- 「自然(地球)」との共生
- 「文化(集団・社会~国)」の共栄
- 「Well-being(幸せ)」の最大化
この3つのテーマに対して、NTT西日本グループでは15個の重要活動項目を設定し、具体的なSDGsの数値目標を定めてサステナブルな事業運営を推進しています。
事業とSDGsのつながり
本記事では、NTT西日本グループの特徴的なSDGsの取組み内容を、具体的な事例を交えてご紹介します。自社での取組みの参考になりますので、ぜひご覧ください。
- NTT西日本のSDGs取組み事例①:食品ロスをなくして地域資源に
- NTT西日本のSDGsの取組み事例②:オフィスICT環境の効率的な管理でCO2排出量削減
- NTT西日本のSDGsの取組み事例③:包装を見直してプラスチックごみを削減
出典:NTT西日本グループのサステナビリティ活動の考え方|NTT西日本グループのサステナビリティ|NTT西日本
出典:SDGsへの貢献(事業とSDGsの繋がり)|NTT西日本グループのサステナビリティ|NTT西日本
NTT西日本のSDGs取組み事例①:食品ロスをなくして地域資源に
NTT西日本グループでは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に基づき、食品ロスを取り巻く社会課題を解決する取組みが行われています。
まだ食べられる食品が廃棄されてしまう「食品ロス」問題が、近年深刻になってきています。農林水産省の発表によると、日本国内の食品ロス量は522万トン(令和2年度)にも及びます。世界には飢餓で苦しんでいる国もある中で、食品ロスの問題は大きな社会課題と言えるでしょう。
飲食店や農産物に所縁のない業態であるNTT西日本ですが、実はIoTなどのセンサーから得られたデータの収集や管理のノウハウが、食品残渣の削減や効率的な食品リサイクルを推進する取組みに活用されています。
NTT西日本グループのNTTビジネスソリューション株式会社は、株式会社ウエルクリエイトと連携して地域食品資源循環ソリューションを構築しました。
地域食品資源循環ソリューションでは、以下の流れを実現することで、食品残渣が堆肥として再利用されています。
- 食品関連事業者向けに食品残渣発酵分解装置を設置し、回収した食品残渣を装置内で発酵分解
- 捨てられるはずだった食品残渣は、リサイクルセンターでの発酵工程を経て、畑で使える堆肥へ
- 再生された堆肥は、農作物生産者に提供されて安心安全な野菜の生産に使用
NTT西日本グループで培われたICT・IoT技術は、良質な堆肥を作るための発酵時の温度管理や分解状況の見える化に応用されています。
ソリューションの運用で得られたデータはクラウド上で一元管理され、食品リサイクル事業全体の効率化に役立っています。
また、堆肥の生成状況の遠隔管理・食品残渣の量の確認がスマートフォンでリアルタイムで分かるなど、利用者にとっても使いやすい仕組みです。
全く異なる事業領域において、自社で培ってきた経験やノウハウの活用方法を検討することによって、社会的な課題の解決につながることだけではなく、自社の新たな活躍の場が見つかります。
経営企画担当者として、新たな事業・営業先の開拓などを検討する際、同業種ばかりが集まるレッドオーシャンの領域に踏み込むのではなく、異分野との掛け合わせを考えてみてはいかがでしょうか。
その際は、異分野の業態を「表面上の商品やサービス」に着目するのではなく、その商品・サービスを提供するサプライチェーンの一連の流れを分析することで、自社のノウハウが生かせるポイントが見つかるかもしれません。
出典:「食品ロス量(令和2年度推計値)の公表」について | 消費者庁
出典:CASE 地域の輪で食品残渣を削減 地域食品資源循環ソリューションの推進|NTT西日本グループのサステナビリティ|NTT西日本
出典:地域食品資源循環ソリューション|製品・サービス|NTTビジネスソリューションズ
広報PR:動画「地域食品資源循環 ソリューション」篇
NTTビジネスソリューションズ株式会社(NTT西日本グループ)のHPでは、地域食品循環ソリューションの取組みに関する動画で、具体的に利用者の声を発信しています。
食品が農作物をつくるための堆肥になっていく工程や、NTT西日本のICTテクノロジーが活用されている領域が分かりやすく解説されています。
出典:地域食品資源循環ソリューション|製品・サービス|NTTビジネスソリューションズ
NTT西日本のSDGsの取組み事例②:オフィスICT環境の効率的な管理でCO2排出量削減
NTT西日本では、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に基づき、CO2などの温室効果ガスを削減する効果が得られる事業活動に取り組んでいます。
NTTグループは、公表している環境エネルギービジョンの中で2030年までに温室効果ガス排出量を2013年度比で80%削減、2040年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。
NTT西日本が取り組む「オフィスプライムサポート」事業は、CO2などの温室効果ガス排出量を削減する取組みとして成果が表れています。オフィスプライムサポート事業は、企業の活動に必要なオフィスのICT環境を管理・サポートするサービスです。
本サービスでは、従来は外部の委託業者が行っていたICT端末の保守手引書の作成・管理、社内のIT管理担当者が電話や出張にて対応していたICT関連のトラブルやサポートを、同一窓口に集約して一元管理することができます。
事業活動に欠かせないオフィスのICT環境ですが、実はその維持・管理には膨大な人員の稼働があります。多拠点でICT機器を運用している場合、複数の拠点で同じような事象が多数発生しても、その都度調査やメンテナンス作業が必要です。
ICT機器の保守手引書や問合せ内容、リモートでのサポート体制などが一元管理されたことで、管理に要していた時間や人の移動がなくなり、結果的に事業活動から排出されるCO2排出量が63%削減される効果が得られました。
オフィス環境の効率化を通して温室効果ガス排出量の削減効果が得られる本事例。ICT環境も改善されることによって顧客への価値提供にもつながり、継続性がある取組みと言えるでしょう。SDGsへの対応はもちろん大切ですが、持続可能な取組みにするためには「顧客に価値を提供できているか?」という根本的な経営視点が大切になりますね。
出典:脱炭素社会の推進|NTT西日本グループのサステナビリティ|NTT西日本
出典:オフィスプライムサポート| NTT西日本
NTT西日本のSDGsの取組み事例③:包装を見直してプラスチックごみを削減
NTT西日本では、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に基づき、海洋プラスチックの社会課題への対応として通信設備に関わるプラスチックごみの削減に取り組んでいます。
具体的には、NTT西日本の通信設備(ONUやホームゲートウェイ等)に対して、以下の内容に取り組んでいます。
- 通信設備の一部に検査・クリーニングを済ませた「リユース品」を活用する
- 通信機器の本体・添付品等を梱包するビニール袋を削減する
- 通信機器に同梱してる壁面固定ねじの削減(未使用での返却が多いため)
ビニール袋を使用しない梱包に工夫をしたことで、年間3.5トンのビニールを削減することが見込まれています。
顧客にとってそれほど重要ではない要素(ビニール梱包・同梱しているねじ)について、見逃さずに改善を施していることが分かります。
顧客に提供している「壁面用ねじが未使用での返却が多い」ことに着目して、ねじそのものと梱包の削減まで踏み切った特徴的な取組みでした。
今していることをやめることは勇気がいる選択ですが、それは提供している側の思い込みであることも多いかもしれません。過剰包装・過剰サービスの削減は、顧客との対話の中で見つけることができるはずです。CRMの中でお客様の声を聞く機会が作れるのであれば、自社商品・サービスへの意識調査を行うことも1つの手段ではないでしょうか。
持続可能なビジネスへのヒント
NTT西日本は、通信事業で培った自社のノウハウを、顧客の抱える悩みの解決策に組み込みながらSDGsに取り組んでることが特徴的です。顧客と社会の課題を同時に解決できる事業は持続可能性も高く、本業を通じた社会貢献のあるべき姿と言えるでしょう。
NTT西日本のSDGsの取組みの要点は、以下3点です。
- 自社のノウハウを異分野の領域で活かして、SDGsに取り組む
- 顧客と社会の課題を同時に解決できる仕組みを作る
- 「より良い工夫」より一歩踏み込んだ「やめる」という選択でプラスチックごみを削減
SDGsに取り組む領域としてまず考えるべきは、自社の「本業」です。商品やサービスを通じて顧客に価値を提供しつつ社会の課題を解決することで、SDGs本来の「持続可能性」が実現できるでしょう。異分野のサプライチェーン分析や顧客との対話を通じて、本業が社会課題の解決ができないか検討してみてはいかがでしょうか。