
SDGs自体の認知度は高まりつつあるものの、導入に悩んでいる企業も少なくありません。
大きな原因として考えられるのが、SDGsがグローバル規模での取り組みであるために自社のビジネスに直結して考えられないことです。
そのため、まずは外部の専門家を招いての社内研修によって、自社でSDGsに取り組みを始めるにあたっての基礎的な理解を得ようと検討する企業も多いのではないでしょうか。
しかし、SDGsに限らず研修一般にいえることとして、概念的な知識の理解だけでなく実践的なアクションに落とし込める研修はそう多くはありません。
そこで本記事では、企業がSDGsを推進するメリットから最適な研修を選ぶ注意点などまで幅広く紹介していきます。
- SDGsに取り組むべきなのか分からない
- どのようなSDGs研修を選択すべきか知りたい
- SDGs研修の成果を確実に出したい
そんな悩みの解消につながる研修も紹介しますので、ぜひご活用ください。
企業がSDGsを推進する3つの理由
そもそも自社がSDGsに取り組むべきなのか、その必要性に疑問を感じているのなら、まずはやるべき理由を明確にする必要があります。
世界的規模の取り組みであるSDGsですが、けっして義務ではありません。そのため労力やコストが気になる企業も多いはずです。それでもSDGsに取り組み始める企業が増えているのは、やるべきだ、と判断したからです。
SDGsを推進するべき理由を大きく3つ紹介しますので、自社の課題にマッチするか見ていきましょう。
企業がSDGsを推進する理由 ①大きなビジネスチャンス
SDGs 達成によってもたらされる市場機会の価値は年間約 12 兆ドル、また、2030年までに創出される雇用は約 3 億 8,000 万人にも及ぶと推計されています。SDGsは世界が持続していくための課題のかたまり、そして、課題解決はビジネスチャンスでもあるのです。Sustainable Development Report 2022のスコアによると、日本は現在、世界19位。ですが、17の目標のうち、達成していると認定されているのはわずか4つ。残りの目標に関しては、まだまだ課題が残っています。達成に向けた動きを加速するため、日本政府は6.5兆円を予算として投じています。補助金や、これまで参入できなかった分野への規制緩和も考えられるでしょう。
SDGsの17の目標には、新規事業の種が眠っているといえますし、課題解決の結果、自社の利益向上が期待できるという大きなメリットがあります。新規事業の開発だけでなく、環境保護を考えた取り組みが経費削減になり、利益率向上につながる可能性もあります。取り組みは多様なのです。
SDGsは世界共通の新しい価値観です。消費者はもちろん投資家も、SDGs視点で企業やブランドを選定するため、SDGsへの取り組みは重要です。
企業がSDGsを推進する理由 ②資金調達ができる
企業が持続可能であるためには、潤沢な資金が必要です。資金はどこからもたらされるかというと、消費者と投資家です。企業は消費者に選ばれるだけでなく、投資家からも選ばれる必要があります。2006年、国連事務総長のアナン氏は、機関投資家に対し、責任投資原則(PRI)を発表しました。これは、投資対象の決定にESG(Enviroment/Social/Governance)の観点を盛り込みなさい、というものです。簡単に言うと、環境や社会に配慮した会社なのか? 自社にとって都合の良い経営が行われていないか? を見た上で投資を行いましょう、ということです。SDGsの目標に配慮した経営を行う企業は、投資家にとってはESGに配慮している投資先となり、結果資金調達につながっていきます。
金融コミュニティでは、ESGを重視する傾向が強まっていて、ESG残高は年々うなぎのぼり。GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)の報告書によると、サスティナブル投資の残高は、2016年に2.2兆ドルしかなかったものが、2020年には、35.3兆ドルに達したことを示しています。これは、投資総額の35.9%をしめているのです。
つまり、SDGsに配慮していない企業は、やがて資金上達を受けることも難しくなってしまうかもしれません。
参照:GSIA「Global Sustainable Investment Review 2020」
ブランディング効果が見込める
持続可能な社会に貢献するという公共性の高い取り組みであるSDGsを推進することで、結果的に企業イメージの向上も見込めます。
日本では現状、SDGs推進の取り組みを開始していない企業も多い状態です。早い段階から率先してSDGsを推進する企業は「社会的な責任意識の強い企業である」と評価されるでしょう。
単なるイメージアップではなく、先進的な意識を持った企業であるというブランドイメージの形成が期待できます。
企業がSDGsを推進する理由 ③持続可能な企業でありつづける
SDGsは世界全体の価値基準です。企業がSDGsを推進する理由②でもお伝えしたとおり、SDGsに配慮しない会社は投資家に選ばれません。例えばAppleは、サプライヤーに対して2030年までに脱炭素化することを要請しています。
事業は何社もの協力のもと、成り立っています。SDGsに配慮していなかったことで、一つの取引先が失われる可能性は否めません。そのためにも、SDGsに配慮した経営を行うことが求められます。
参照:Apple、グローバルサプライチェーンに対して2030年までに脱炭素化することを要請|Newsroom|Apple Inc.
人材育成や離職率低下につなげられる
SDGs推進は、これからのグローバルなビジネス環境に生き残るために欠かせないリテラシーを備えた人材育成や離職率低下につなげられるのも大きなメリットです。
SDGsには、「ジェンダー平等」や「働きがい」に関連する目標も設定されています。この目標は、自社の体制見直しにより達成できる企業もあるでしょう。またSDGsへの取り組みが、離職率の低下につながった企業も存在します。
離職率の改善を考えている企業にとって、有意義な取り組みになる可能性が高いでしょう。事業は人があってこそ、成り立つものです。
ステークホルダーとの関係を強化できる
SDGs取り組みは、地域・従業員・顧客との関係強化にも大きな影響を与えます。
SDGsの目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」というものです。パートナーシップで目標を達成するなら、他社との関係も強化できるでしょう。
今までつながりがなかった企業との関係により、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
企業におけるSDGs研修の必要性
利益向上・ブランディング効果・人材育成などメリットが多いため、企業におけるSDGs研修の必要性は非常に高いものと考えられます。ですが、SDGs自体は知っていても、どのようにビジネスへと落とし込むかは難しいもの。
しかし効果的な研修を受講すると、基礎的な知識から具体的な取り組みの進め方まで幅広く学ぶことができ、自社のビジネス推進に絡めた形での落とし込みイメージが見えてくるでしょう。
SDGs研修は次代を担う人材の育成につながるものです。世界的な取り組みを身近に考えつつ、自社の利益につなげられるような人材を育成できます。営業・広報などを始め、職種によっては実務にも知識を生かせるのも大きなメリットです。
SDGsには2030年までに取り組むべき17の世界的目標・169の達成基準・232の指標があります。その本質を深く理解し、自社に取り入れていくためには、SDGs研修が最短・最速の選択肢でしょう。
SDGs研修を実施する目的
企業がSDGs研修を実施する目的は1つではありません。各企業の現状によって、それぞれ別の目的があるものです。
そこでSDGs研修を実施する目的で、特に多いものを5つ紹介していきます。自社の現状に該当するものがないかチェックしてみましょう。
- SDGsにどう取り組むかの判断材料になる知識を得る
- 自社におけるSDGsの方針を明確にする
- SDGsへの取り組み方を知る
- SDGsに対する意識を浸透させる
- SDGs推進に関連付けられる業務があるかを探る
SDGsにどう取り組むかの判断材料になる知識を得る
研修では、自社でSDGsに取り組むかの判断材料として使える知識が得られます。
判断をするためには、まず基礎知識が必要です。環境・飢餓・脱プラスチック・脱炭素など、課題に関する概要が分かっていなければ、何を取り組むべきか判断するのは難しいもの。
基礎知識を習得すれば、自社に取り入れるか判断しやすくなるでしょう。
自社におけるSDGsの方針を明確にする
研修は、自社におけるSDGsの方針を明確にする目的にも使えます。
基礎知識を得て取り組みを決めても、具体的に何をすべきか迷う企業も少なくありません。だからといって漠然と方針や目標を決めてしまうと、実際の取り組みが推進しづらくなるでしょう。
方針を明確にし、確実に進めていける取り組みをするためにも、SGDs研修を取り入れてみましょう。
SDGsへの取り組み方を知る
SDGsへの具体的な取り組み方を知るためにも、研修が役立ちます。ゴールイメージを明確にせず漠然と取り組んでも、思うように進まず、また成果にはつながらないものです。
しかし研修により他社の取り組み事例や効果的な推進方法を把握すれば、取り組みが進めやすくなるもの。SDGsの担当者や取り組み方針が決まったあと、実際にSDGsを業務に組み込んで進めていくプロセスに活用できます。
SDGsに対する意識を浸透させる
研修は自社内での「SDGsに対する意識」を浸透させるためにも使えます。SDGs推進を考えるのであれば、社員が知識や意識を得る機会を作らなくてはなりません。
なぜならSDGsの推進においては従業員にも主体的な行動が求められるからです。
SDGsに対し主体的に取り組む人材を育てていきたいと考えているのなら、研修が活用できるでしょう。
SDGs推進に関連付けられる業務があるかを探る
SDGs研修は、自社に関連付けられる業務があるかを探る目的での活用も可能です。関連付けられる業務を見つけたら、具体的な取り組みが考えやすくなります。
実態が伴わない取り組みは、「SDGsウォッシュ」と誤解されがちです。SDGsウォッシュとは「取り組みをしていると見せかけている」といった意味を持つ言葉。
そんな誤解を招かず自社の業務に関連付けて展開していくためにも、研修を活用できるでしょう。
SDGs研修の種類
SDGs研修を実施するのであれば、種類を選ぶ必要があります。大きく分けるとSDGs研修の種類は以下の4つです。
それぞれの概要について紹介していきます。
eラーニング
SDGs研修のなかで、特に便利なのがeラーニングです。eラーニングなら、受講者が学習する場所やタイミングを自由に選べます。個別に利用するなら、繰り返し視聴して深く学べるでしょう。全社や事業部単位でのSDGs研修を実施したい時は、eラーニングが便利です。
ワークショップとの組み合わせにより、さらに理解を深められます。
SDGsビジネスラーニング
企業が抱える課題解決に使えるのが、「SDGsビジネスラーニング」です。
SDGsビジネスラーニングは日本ノハム協会の監修によるもの。使われている教材は世界のデータ・具体的な事例などをもとに構成されています。単にノウハウを学ぶだけでなく、社内ワークで具体的な戦略を立てられるのが大きな魅力です。
基本の動画では、目標に対する世界の現状と解決方法の学習が可能。直感的に理解しやすく、洗練されたデザインが使われているため、飽きずに視聴できます。
さらに毎月SDGsビジネスの最新動画が届くため、常に最新の知識をアップデートすることも可能です。動画による学習後は、社内施策の実践に移せる「会議ファシリテート」のサポートが受けられます。
すべての企業にマスター管理画面が渡されるため、プラン内なら視聴社員の増減は可能。この管理画面では、各社員の履修状況を確認できます。
すでにSDGs推進を始めていても「実務や営業に生かせるほど全員が知識豊富なわけではない」という企業も多いもの。しかしビジネスに特化したSDGsビジネスラーニングなら、社員全員のSDGsリテラシーの底上げが効果的に実現できます。
座学による講義での研修
一般的な研修方法として考えられるのが座学による講義です。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、オンラインでのセミナーも実施されています。
座学による講義では、資料を配布のうえ、講師がスライドを使って講義をするのが一般的です。
座学による講義は時間が限られているもの。自社の目的に合わせ、あらかじめ研修の内容について講師と打ち合わせをしておく必要があります。
ワークショップ
SDGsの研修では、受講者参加型のワークショップも実施されています。ワークショップとは、理論やフレームワークを使って最適な答えを探すというもの。演習を取り入れつつ、受講者同士で議論をしながら答えを探していきます。
ワークショップ単体では、eラーニングや座学より得られる情報量は少なめです。ただし、eラーニングや座学で得た知識を深められますので、eラーニングや座学とセットで実施しましょう。
カードゲーム
楽しみながらSDGsについて学べるのが、カードゲームです。地方創生やビジネスなど、カードゲームで扱われるテーマはさまざま。未来を担う子ども向けに作られたカードゲームもあります。
カードゲームでは、感覚的にSDGsの世界観に触れることが可能です。研修にカードゲームを取り入れるなら、eラーニングや座学による講義と組み合わせると良いでしょう。組み合わせにより、学んだ知識を深めてビジネスに落とし込めます。
SDGs研修を実施する時の注意点
企業や団体などが、実際にSDGs研修を実施する時の注意点を紹介します。SDGs研修を実施するのなら、高い効果が出る方法について考えなくてはなりません。
注意点を意識しつつ、自社でのSDGs研修を実施しましょう。3つの注意点を紹介しますので、ぜひ参考としてお役立てください。
自社のSDGs推進状況に合った研修を選ぶ
研修は自社のSDGs推進状況に合わせて選ぶ必要があります。基礎知識がない状態で難易度が高い内容の研修を行っても、思うような効果は得られません。
まずは自社のSDGs推進状況をチェックしてみましょう。段階に合った研修を選ぶと、自社での取り組みに生かせます。
状況に合わせて適切な研修の種類を選択する
開催にあたってはSDGs研修の種類を選択する必要があります。どの種類にするか選択の判断材料として使えるのが、以下のような要素です。
- 予算
- 受講する社員の人数
- 研修実施の目的
全社員を対象に講義形式の研修を実施するのであれば、参加者の日程調整が必要になります。ただし新型コロナウイルス感染症の流行により、大勢を集めるのは難しい状況です。
落とし込みに効果が期待できるワークショップやカードゲームも、現状は難しいかもしれません。リスクの低い研修を開催するのなら、eラーニングの利用がおすすめです。
研修実施時期の状況を見ながら、自社に合った種類を選択しましょう。
研修を受けるだけでなく結果を測定して効果を確認する
研修後は必ず結果の測定を実施しましょう。結果を測る方法として一般的なものが、アンケートです。アンケートは、研修の内容に準じて設問を変えます。
設問の例として考えられるのが以下のような項目です。
- 内容を理解できたか
- 新たな気づきがあったか
- 今後学びたい内容があるか
最大限の効果を出すためにも、研修の結果は必ず測定するようにしましょう。
ビジネスを加速するなら「SDGsビジネスラーニング」
SDGsへの取り組み自体は義務ではないものの、自社の利益を向上させる大きなチャンスです。そんなSDGsについて学べる研修は、SDGsへの意識を浸透させるだけでなく、関連付けられる業務があるか知るためにも使えます。また今後の社内教育において、SDGs研修は必要不可欠なものだとも考えられるでしょう。
経営層を含め、一人ひとりが深い知識を持つことにより、パラダイムシフトに強い企業が作れます。
- SDGsに取り組むべきか判断しかねる
- SDGsを牽引していく人材を育てたい
- 脱炭素の取り組みを進めていきたい
- 効果的にSDGsへの取り組みをアピールしたい
SDGsをビジネスに落とし込みたいと考えているのなら、SDGsビジネスラーニングの活用が便利です。全社や事業部単位で、効率良くSDGs研修が進められます。
最新知識をアップデートできるため、社員全員のSDGsリテラシーの底上げにも効果的です。SDGsへの取り組みを推進するだけでなく、ビジネスの加速にもつながるでしょう。CSR活動やビジネスの加速を考えるなら、SDGsビジネスラーニングをご活用ください。
SDGsビジネスラーニングは以下のリンクから確認できますので、ぜひチェックしてみましょう。