日本生活協同組合連合会のSDGs取組みとは?取組み方針と事例を紹介

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    日本最大の消費者組織、日本生活協同組合連合会。総会員数は約2,996万人で、総事業高は約3.8兆円。2020年度末で、314の生協(地域生協(宅配・店舗事業などを運営)や職域生協、大学生協など)が加入しています。

    消費者は出資金を出して単位生協に加入。その生協の取りまとめをしているのが、日本生活協同組合連合会です。そんな日本生活協同組合連合会では、SDGsは生協の事業・目標と深く関わるものとして、地域密着型で取組みを進めています。

    写真(yu_photo / Shutterstock.com

     

    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み方針

    日本生活協同組合連合会では、2018年6月15日の総会にて「コープSDGs行動宣言」を採択。7つの取組みを通じて、SDGs実現に貢献することを約束しました。日本生活協同組合連合会が掲げた7つの目標を紹介します。

    • 持続可能な生産と消費のために、商品とくらしのあり方を見直していきます
    • 地球温暖化対策を推進し、再生可能エネルギーを利用・普及します
    • 世界から飢餓や貧困をなくし、子どもたちを支援する活動を推進します
    • 核兵器廃絶と世界平和の実現をめざす活動を推進します
    • ジェンダー平等(男女平等)と多様な人々が共生できる社会づくりを推進します
    • 誰もが安心してくらし続けられる地域社会づくりに参加します
    • 健康づくりの取り組みを広げ、福祉事業・助け合い活動を進めます

    すべての人々が人間らしく生きられる豊かな地球を、未来のこどもたちへ をスローガンに掲げる日本生活協同組合

     

    さらに日本生活協同組合連合会では、「生協の2030環境・サステナビリティ政策」を決定。政策は「10の行動指針」と「2030目標」で構成されています。10の行動指針は、具体的なアクションプランとなるものです。

     

    今回は日本生活協同組合連合会の具体的な取組み事例をご紹介いたします。

    参照:コープSDGs行動宣言 

    参照:SDGsと生協 | 日本生活協同組合連合会 

     

    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み事例①コープのエシカル

    日本生活協同組合連合会では、SDGsの目標を達成する手段として「エシカル消費」に対応する商品を開発して供給。対応商品には、「コープサステナブル」としてマークをつけてシリーズ化。さらにエシカル消費対応商品の利用を組合員に促しています。

    コープサステナブルには、以下4つのシリーズがあります。

    • 海の資源を守るシリーズ……持続可能と認証された漁業で獲った魚を使用
    • 森の資源を守るシリーズ……適切に管理された森林から生産された農林産物を使用
    • 大地の力を活かすシリーズ……環境の負荷を少なくする農法で作られた植物を使用
    • リサイクル材使用シリーズ……製品本体で認証を取得

    エシカル消費への取り組みは、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」を主たる目標にしたものです。2021年度のエシカル対応商品の供給金額は、前年比101パーセントの2,036億円とされています。

    SDGsの目標に対し、利用者参加型で取組む企業は少なくありません。そのなかでも日本生活協同組合連合会は特に大きな成果を出しています。もちろん日本生活協同組合連合会と同様の規模は難しいもの。しかし取組みを広げ持続させるために、自社でも利用者参加型を考えてみるのも良いでしょう。

     

    参照:コープサステナブルシリーズとは|コープ商品サイト|日本生活協同組合連合会

    参照:SDGsと生協 | 日本生活協同組合連合会 

    参照:コープサステナブル動画 

     

    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み事例②環境への取り組み

    画像出典:地球温暖化対策 | 日本生活協同組合連合会

     

    日本生活協同組合連合会で行っている環境への取組みは主に2つ。それぞれに具体的な数値の目標が設定されています。

    • 再生可能エネルギー拡大……2030年までに年間発電量4億kWhの再生可能エネルギーを開発する
    • 地球温暖化対策……CO2排出量を2030年に2013年度比で40%削減する

    年間発電量4億kWhは、現状の2倍にもなる数値です。その達成のため、日本生活協同組合連合会は小水力発電・食品残バイオガス発電・風力発電などに挑戦しています。

    また温室効果ガス総量削減計画では、2019年度の段階で基準年度比18パーセント削減に成功。削減要因となったのは、エコストアの出店、LED照明への切り替え、冷凍・冷蔵ショーケースなど設備更新、低炭素電気への切り替えなどです。当初「2020年に2005年度比でCO2排出総量を15%削減すること」を目標にしていましたが、達成が見えたことから、2021年に目標を新たにしています。

    この取組みは、SDGsの目標13「気候変動に効果的な対策を」および目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」につながるものです。

    企業で環境問題に取組むなら、出店や改装のタイミングで設備を見直すのも良いかもしれません。初期費用はかかっても、省エネ設計はランニングコストの削減につながります。グラフのように、結果が横ばいになる月もあるでしょう。そのため無理なく持続可能な取組みを考えるのが大切です。

     

    参照:地球温暖化対策 | 日本生活協同組合連合会

    参照:再生可能エネルギー拡大の取り組み | 日本生活協同組合連合会



    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み事例③子どもの未来アクション

    子どもの貧困に取組んでいるのが、日本生活協同組合連合会の「子どもの未来アクション」です。誰も生まれてくる環境は選べません。そして子どもの貧困は「貧困の連鎖」を生み出してしまいます。そこで日本生活協同組合連合会では、貧困の連鎖を断ち切ろうと取り組んでいます。

    具体的な活動には、ユニセフへの募金・子ども食堂・フードバンク・フードドライブなどがあります。さらに日本生活協同組合連合会では「子どもの未来アンバサダー」を募集。貧困をはじめとする子どもの問題を解決したいと思う人を地域で増やすのが、子どもの未来アンバサダーの役割です。

    この取組みは、SDGsの目標1「貧困をなくそう」につながります。また目標2「飢餓をゼロに」や目標4「質の高い教育をみんなに」などにも該当するものです。

    「子どもの未来アクション」を後援しているのは、文部科学省と厚生労働省。さらに全国社会福祉協議会やろうきんなどが賛同団体として名を連ねています。

    日本でも、深刻な貧困に苦しんでいる子どもがいます。地域の貧困問題に取組むなら、他社からの賛同も受けやすいでしょう。企業のPRにもつながる取組みでもあります。取組む目標に悩んでいるのであれば、地域の貧困問題も候補の1つとして検討してみましょう。

     

    参照:子どもの未来アクション 

    参照:SDGsと生協 | 日本生活協同組合連合会 

     

    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み事例④福祉事業

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    地域にある生協では、在宅介護サービスを中心にした福祉事業への取組みを行っています。そのなかで定められているのが「生協10の基本ケア」です。生協10の基本ケアでは、利用者および家族のQOLを高めるための手法を取りまとめています。その他デイサービスの運営、食育、生活習慣病や介護などの「予防」を重視した取り組みも同時に進めており、2021年度の福祉事業収入は235億円で、前年度比104パーセントとなりました。

    この取組みは、SDGsの以下の目標にあたるものです。

    • 目標3「すべての人に健康と福祉を」
    • 目標11「住み続けられるまちづくりを」

    SDGsの目標にも関連しますが、自社の売り上げにも貢献する取組みです。

    少子高齢化が進む日本では、今後ますます介護サービスが需要が高まります。そこでSDGsへの取組みと絡め、福祉事業への参入を考える企業もあるでしょう。しかし「自宅で介護を受けたい」と考える人も少なくありません。福祉に取組むなら、QOLを高めるケアはもちろん、生協のように「予防」に力を入れた事業も検討すべきでしょう。利益を上げつつ地域のサポートになる取組みが求められます。

     

    参照:生協の社会的取り組み報告書2019 

    参照:生協の社会的取り組み報告書2022

    参照:SDGsと生協 | 日本生活協同組合連合会 

     

    日本生活協同組合連合会のSDGs取組み事例⑤生協の平和活動

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    日本生活協同組合連合会では、核兵器廃絶および世界平和実現をめざす活動を推進しています。この取組みはSDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に該当するものです。

    平和への取組みには、以下のようなものがあります。

    • 戦争や被爆体験を継承するピースアクション
    • ヒバクシャ国際署名
    • 沖縄戦跡・基地めぐり
    • 被爆者と交流しながらのデジタルアーカイブ登録

    ヒバクシャ国際署名は、2021年1月までに286万2,297人分が集められました。。2021年のピースアクションには、全国の95生協から延べ6,500人が参加しています。

    第二次世界大戦以降、日本は直接的な戦争を経験していません。平和であるのはもちろん素晴らしいことです。ただし平和を維持していくには、その大切さを学ぶ必要があるでしょう。

    平和や公正は、目標としてあまりにも大きなものです。一企業では取組むのが難しいと感じられるかもしれません。しかし言うまでもなく、すべての人々に直結する重大な目標です。日本生活協同組合連合会のように、地域の人々と共に平和を学んでいく方法もあります。大きな目標だからと敬遠せず、自社で取組みを考えてみてはいかがでしょうか。

     

    参照:生協の社会的取り組み報告書2019 

    参照:SDGsと生協 | 日本生活協同組合連合会 

    参考:生協の社会的取り組み報告書2022

     

    地域密着型でSDGsに取組む日本生活協同組合連合会

    第2回ジャパンSDGsアワードで、日本生活協同組合連合会は副本部長賞を受賞しました。受賞は1つの取組みによるものではなく、総合的な評価です。

    日本生活協同組合連合会では、他にもさまざまな取組みを行っています。

    • 食育
    • 地域社会づくり
    • 子育て支援
    • ジェンダー平等
    • 国際教育

    国際教育も行っていますが、取り組みの多くは国内であり、地域密着型のものです。他社の模範となる取組みも少なくありません。もちろん規模の大小は企業によって違うもの。しかしながら自社において地域密着型の取組みを考えるのなら、日本生活協同組合連合会の事例は大きなヒントとなるはずです。他社との協働により目標17にもつなげられます。どうSDGsに取組むべきか悩むなら、日本生活協同組合連合会の事例をもとに検討してみましょう。

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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