楽天のSDGs取組みとは?地域活性化からスタートしたビジネスによる社会貢献は、多角的に進化し続ける

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    楽天グループ株式会社(以下楽天)は、インターネットショッピングモールである「楽天市場」やフリマアプリ「ラクマ」などを運営する、インターネット関連事業を展開する企業です。銀行・通信・不動産など、生活に関連するさまざまなサービスを提供しています。

    人々の暮らしに深く関わり続ける楽天は、「SDGs(持続可能な開発目標)」に対してどのような取組みを行っているのでしょうか。取組み事例を交えつつ、楽天の「SDGs」についてお伝えします。

    写真(Sergei Elagin / Shutterstock.com)

     

    【Pick UP】「ツヅケル」が注目した楽天のSDGs取組みのポイント

    • あくまで「本業」を通じてSDGsへ貢献するという基本スタンス
    • プラットフォーマーとしての幅広いパートナーシップ
    • パートナーシップによる活動増幅による、数々の受賞をPRにつなげる



    楽天のSDGs取組み方針

    mission_jp出典:楽天のサステナビリティ戦略

    楽天では、持続可能な未来とは「世界中の人々が夢を持って幸せに生きられる社会が何世代にもわたって続いていくこと」であると考えています。その未来を実現するべく、事業・サービス・商品を通じて課題に挑戦中です。

    そこで楽天は「社会への貢献(エンパワーメント)」を大きなミッションとして定めました。そのうえでマテリアリティ分析に基づき、重要課題を4つに分類。

    • 事業基盤(倫理的な事業慣行、情報セキュリティとプライバシー、製品・サービスの品質)
    • 従業員と共に成長
    • 持続可能なプラットフォームとサービスの提供
    • グローバルな課題への取組み

    本記事では、楽天が重要課題として取り組んでいる目標から取組み事例について具体的にご紹介いたします。

     

    楽天のSDGs取組み事例①:地域活性化

    RSA_demoday_kv出典:楽天創業メンバートーク!【前編】~創業当時から根付く楽天のDNAとは?~

    国内外で多くのサービスを展開している楽天のスタートは1997年。当時、地方では商店街にある多くの店が窮地に立たされていました。そんななか、三木谷社長を始めとする6人の若者が、日本を元気にしたいと集まったのです。

    楽天市場は、小さな商店でもパソコンが分からなくても、誰でも簡単にインターネットでお店が開けます。そのために使われているのが「Rakuten Merchant Server」という店舗運営システムです。

    楽天に参加した結果として、倒産を免れた商店も少なくありません。楽天市場の存在そのものが、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などにあてはまると考えられます。

    地域や日本を元気にする仕組みも、SDGsの取組みにつながるもの。併せて自社の発展にも貢献した理想的な事例です。

    参照:楽天創業メンバートーク!【前編】~創業当時から根付く楽天のDNAとは?~ 

     

    楽天のSDGs取組み事例②:ソーシャルアクセラレータープログラム

    shutterstock_1930294022「Rakuten Social Accelerator」は2018年に開始したプログラムです。このプログラムでは楽天の持つテクノロジーやアセットを活用。さまざまなステークホルダーと従業員が協働し、社会的なインパクトを創出していくことを目的としています。

    2021年度、楽天は8団体と協働。

    • 琉球frogs……学生に人材育成プログラムを提供
    • おらが大槌夢広場……企画や冊子制作へのアドバイス
    • 特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会……国際協力活動の資金にするため企業や学校内で物品寄付を募る制度を実施
    • 一般社団法人まるオフィス……地域の学校と連携して学びを支援
    • NPO法人だっぴ……学生が生き方やキャリアを学ぶ機会を提供
    • 龍郷町……町の魅力のPRをサポート
    • NPO法人中之作プロジェクト……活動を紹介する動画の企画やオンライン戦略のサポート

    お互いに業務で培った専門性や経験が生かせるのが「Rakuten Social Accelerator」です。この取組みは、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などにあてはまるもの。

    SDGsの推進を考える企業にとって、協働は双方に大きな利益をもたらす可能性があるでしょう。ステークホルダーとの協働を考えているのなら、参考になる事例です。

    参照:Rakuten Social Accelerator

     

    楽天のSDGs取組み事例③:JICAとの包括連携協定

    JICAagreement

    出典:社会貢献(JICAとの包括連携協定)

    2021年5月、楽天は独立行政法人国際協力機構(JICA)との包括連携協定を締結しました。楽天にはデジタルマーケット、JICAには海外ネットワークという強みがあります。包括連携は、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つの目標に該当するものです。

    連携により、楽天では国内外のステークホルダーとのSDGs取組み・協働が可能になる見込みです。数値目標の設定はありませんが、今後は留学生のインターンシップ受け入れや、商品情報の発信などが行われる予定となります。

    特筆すべきは、「EARTH MALL with Rakuten」での商品紹介が発端となり、互いの中堅・若手で協定が推進された点です。中堅・若手社員が主体となって行動し、SDGsを進めようとする姿勢は、多くの企業にとって見本となるものでしょう。若手が「動きたい」と考え、その熱意を受け入れる仕組みがあれば、若手の意識向上にもつながり、人材育成につながります。

    参照:社会貢献

     

    楽天のSDGs取組み事例④:多様な従業員の尊重・サポート

    RAward

    出典:従業員(楽天賞)

    「従業員と共に成長」を重点に置く楽天では、社員のダイバーシティも必要不可欠なものと考え、個々を尊重し能力を発揮できる環境づくりを実施。この取組みはSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標10「人や国の不平等をなくそうなどに該当します。

    2016年にはLGBTQ従業員のサポートとして、配偶者の定義を改定。パートナーの性別に関わらず、配偶者を持つ従業員を対象にした福利厚生が受けられるようになりました。取組みは高く評価されており、LGBTに関するダイバーシティ・マネジメントを促進する「work with Pride」のプライド指標で、楽天は5年連続「ゴールド」を受賞しています。

    さらに長く働き続けられる労働環境の整備として、楽天ではフレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入。さらに従業員に対しては以下の取組みも行っています。

    • ストックオプションの付与
    • 退職金制度
    • 「楽天賞」制度

    取組みの結果として、2020年の離職率は2017年よりも5.7ポイント減少しています。

    知識や技術を持つ従業員の離職は、企業にとって大きな損失です。楽天のように個々を尊重しつつ、やりがいのある環境で従業員の成長を促すのは、企業存続・発展のためには欠かせない取組みだといえます。

    参照:従業員

    ダイバーシティ

     

    楽天のSDGs取組み事例⑤:SDGs専門モールの開設

    出典:EARTH MALL with Rakuten

    楽天では、2018年11月にSDGs専門モール「EARTH MALL with Rakuten」をプレオープン。「EARTH MALL with Rakuten」では、国際機関による認証を取得した商品や、原料・製造段階から環境および社会に配慮した商品のみを紹介しています。この取組みは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に該当するものです。

    プレオープン時の取扱商品数は7,000点であったものの、2020年には3万点以上に増加。楽天では具体的な金額は公表していないものの、サイト来訪者・売り上げは順調に拡大しているとしています。

    SDGsに関心がありながらも「何が自分の生活につながるのか分からない」と感じる消費者は多いでしょう。楽天では、そんなユーザーにヒントを与えつつ、自社の売り上げ拡大につなげています。

    本業のついでとしてSDGsを展開するのではなく、SDGsを軸に本業を展開することで、ビジネスの拡大とSDGsを強力に推進する」という方法は、多くの企業にとって、SDGs推進にあたっての「次の一手」への参考になるでしょう。

    参照:EARTH MALL with Rakuten

     

    楽天のSDGs取組み事例⑥:Goals Beyond the Game

    shutterstock_1397258096

    2018年、楽天は「Goals Beyond the Game」に参加しました。「Goals Beyond the Game」とは、FCバルセロナの試合を通して、SDGsの目標達成に向けた取組みを世界に呼びかけるプロジェクトです。この取組みはSDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に該当します。

    参加者は17ある目標から1つを選択して自分自身の宣言を特別サイトに投稿。その宣言はSNSなどで拡散されています。さらに最終戦の試合中には、試合が行われているスタジアムの電光掲示板でも紹介されました。

    自社で目標設定・宣言して終わらせるのではなく、一般の消費者も巻き込んで展開することで、実効性のある活動になり、結果的に高い広報・PR効果を得られる取組みです。SDGsを通じ、自社のPRにもつなげられた例だといえます。

    参照:楽天とバルサ財団、SDGsの認知拡大に向けた 「Goals Beyond The Game」プログラムを実施

    写真(Lestertair / Shutterstock.com)

     

    楽天の事例から考えられるSDGs推進のメリット

    楽天のSDGs活動は、数々の外部評価・表彰につながっています。

    • MSCI日本株女性活躍指数の構成銘柄に選定
    • 環境省の「エコ・ファースト企業」認定
    • 「work with Pride」のPRIDE指標で5年連続ゴールド
    • 「健康経営優良法人2021」認定
    • スポーツ庁「スポーツエールカンパニー」認定
    • フルリモート研修が「HRテクノロジー大賞」特別賞受賞
    • HRアワード2020ノミネート

    楽天は受賞を目的として取組みを行っていたわけではありません。受賞は、取組みによる副産物。しかし受賞が楽天に対してもたらすメリットは大きいものです。

    日本では、SDGsに対する取組みが遅れている企業も少なくありません。新たな取組みにかける労力を考えると、出足が鈍るのも無理はないでしょう。しかしSGDs推進で受ける評価は、自社の利益にも大きく貢献します。自社の発展のために生かせる目標がないかを積極的に探ってみてはいかがでしょうか。

    ツヅケル編集部

    持続可能な社会を一緒に考えるニュースサイト「ツヅケル」の編集部です。これからの環境・食糧・気候問題等をビジネス側から思考し、みんなで克服し、より豊かで幸せな毎日が送れる方法を探すための情報を日々キャッチし発信しています。

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