SDGs(持続可能な開発目標)の目標11では「住み続けられるまちづくりを」を掲げ、災害に強く誰もが安心安全に暮らしていけるまちづくりを目指しています。
本記事では、SDGsの目標11で定めている10のターゲットとポイントを解説し、今後のまちづくりに何が必要なのか、どのように取り組んでいけばよいのかを解説します。
また、まちづくりに関わるソフトバンクやコカ・コーラなどの企業の取組み事例を紹介し、SDGsへの取組み方を読み解くヒントをお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。
【Pick Up】「ツヅケル」が注目したビジネスパーソンがSDGsの目標11を読み解くポイント
- "住み続けられるまちづくりを"に対する具体的な取組みキーワードは「防災」「公共交通」「都市計画」
- SDGsを通じて新しいチャンスにつながる「官民連携」
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の10のターゲット
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」では、包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住の実現を目指しています。
強靱(レジリエント)とは、自然災害が発生した時に被害を最小限に抑え、素早く復旧できることを指します。
誰もが安全安心に住めるまちづくりを実現するため、10個のターゲットを設定しています。
【目標11.住み続けられるまちづくりの10のターゲット】
- 11.1 2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
- 11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
- 11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
- 11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
- 11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
- 11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
- 11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
- 11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
- 11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
- 11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」では、わたしたちの暮らしに密接な「居住」をテーマにしています。
一見、抽象度の高い目標ではありますが、10のターゲットを読み解くことで「防災」「公共交通」「都市計画」など、取り組むべき方向性が見えてきます。
次項から、この目標が必要とされた背景について理解していきましょう。
出典:地球ナビ動画(YouTube)/授業でも使える教材 | 先生・生徒のお役立ちサイト - JICA地球ひろば
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」が必要な理由
住み続けられるまちづくりが必要な理由は3つあります。
【住み続けられるまちづくりが求められる理由】
- 自然災害によって被害を受ける人たちのリスクが高まっている
- スラム街に住む10億人の暮らしを改善しなければならない
- あらゆる立場の人を置き去りにしないまちづくりが求められている
次項から具体的に理由を見ていきますが、前提となる背景には、世界の人口増加と都市への流入が進んでいることがあげられます。
現在、世界の人口の半数にあたる35億人が都市に暮らしています。都市への人口集中は今後も進み、2030年までに50億人が都市で暮らすことになると予測されています。
都市に多くの人が集中することによって、都市の貧困層の増加や環境汚染、エネルギー問題、災害発生時の被害の拡大など、多くの課題が懸念されています。
目標11が求められる世界の状況を見ていきましょう。
自然災害によって被害を受ける人たちのリスクが高まっている
今後、わたしたちが持続可能な暮らしをしていくためには、自然災害に強いまちづくりを目指す必要があります。
なぜなら、世界では干ばつや砂漠化、台風、豪雨などによって人々が移動せざるを得ない自然災害が多くなっているからです。
住民の移動を余儀なくさせる災害の年間発生件数(1970〜2013)
世界の災害の発生状況を見てみると、災害の年間発生件数は増えています。それに伴って、被災後に住んでいた場所からやむを得ず移動した人の数も増えていることが分かります。
日本国内においても、局地的に短時間で激しく雨が降る「ゲリラ豪雨」の被害が報道されることも増え、気候変動による自然災害の増加を実感しているのではないでしょうか。
また、日本は4つのプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)が接する複雑な場所に位置しており、世界でも有数の地震多発地帯です。
わたしたちが暮らす日本においては、特に重要なSDGsの目標と言えるでしょう。
さらに、世界の人口が増え続け、都市に人々が集中すると災害時のリスクも高まります。
都市で災害が発生すると、人口密集地における家屋の倒壊や、水道・電気などのインフラ設備の破壊等の影響を受ける人が多くなります。
一度に多くの人々が被災することによって、食料品や医薬品が行き渡らない状況も起きるでしょう。
多くの人々が暮らす都市では、自然災害発生時に被害を最小限に抑え、すぐに復旧できるまちづくりが重要なのです。
出典:Disaster-related displacement risk: Measuring the risk and addressing its drivers | IDMC
出典:持続可能な世界への第一歩 SDGs CLUB|日本ユニセフ協会
出典:ゲリラ豪雨のしくみ(知る防災) - 日本気象協会 tenki.jp
スラム街に住む10億人の暮らしを改善しなければならない
世界では10億人以上がスラム街で暮らしており、そこに住む人々の暮らしの改善が喫緊の課題になっています。
利便性も高く、企業数や職種が多い都市には、仕事を求めて多くの人が集まります。しかし、全員が仕事を得られるわけではありません。
世界の人口が増え続け、都市に人々が集中すると住居費の高騰も起こります。
こうした状況で、十分な収入が得られない人々は家賃の安い区画や居住に適さない地域に集中し、スラム街が形成されていきます。
ユニセフが2012年に発表した『世界子供白書 2012』によると、スラム世帯は以下の5つの項目が、1つでも欠如している世帯であると定義されています。
- 改善された水へのアクセス
→過度な身体的努力や時間を必要とせず、適量の水が手ごろな価格で入手できる。 - 改善された衛生施設(トイレ)へのアクセス
→私用トイレまたは妥当な人数で共用する公共のトイレの形態で、排泄物処理設備が利用できる。 - 住み続けられる保証
→住居の確実な賃貸または所有の状態の証明として、または強制退去からの保護のために、使用できる証拠または文書がある。 - 住居の耐久性
危険のない土地に永続的で適切な構造で施され、降雨、寒暖、または湿気といった気候条件が極度に至っても居住者を保護できる。 - 十分な生活空間
→同じ部屋を共用するのは最高 3 名までである。
スラム街には、生活に欠かせないキレイな水やトイレ、安全な住居が欠けた世帯が集まっており、衛生上の問題や環境汚染が深刻です。貧しい地域では、治安の悪化によってそこに住む人や周辺地域の人々が犯罪に巻き込まれる恐れもあります。
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」では、スラム街で暮らす人々の生活の質を改善するために必要なターゲットを定めています。
あらゆる立場の人を置き去りにしないまちづくりが求められている
世界の人口の半数以上が都市で暮らしていくためには、どんな立場の人でも過ごしやすいまちである必要があります。
日本の都市では当たり前に整備されている公共交通手段も、世界では住民の半数しか満足に利用できていない状況にあります。
世界では公共交通インフラの整備の遅れや、増え続ける人口への対応に課題があるなど、特にこどもやお年寄り、障害のある人などが快適に利用するのが難しい状況です。
道路そのものがメンテナンスされていない新興国もあり、安全で安定的な人々の移動に問題を抱える場所もあります。
このような状況も踏まえ、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」では、公共交通に関する課題の対応もターゲットに設定されています。
以上のように、世界の国には、安心して持続的に住み続けられるまちづくりに必要なことがまだまだ足りません。
日本に置き換えて考えてみても、都市の人口増加による課題は決して他人事ではありません。SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現に向けて、わたしたちには何ができるのでしょうか。
住み続けられるまちづくりを実現するための日本政府の取組み
日本政府は、住み続けられるまちづくりを実現するために、どのような取組みをしているのでしょうか。今回は、2つの事例を紹介します。
- 国土強靭化計画
- 生産性向上と外国人人材
では、それぞれみていきましょう。
日本のSDGs取組み事例①:国土強靭化計画
国土強靭化計画とは、強靱な国土、経済社会システムの構築を目指すこと。国土強靱化の基本目標は以下の通りです。
1.人命の保護が最大限図られること
2.国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること
3.国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化
4.迅速な復旧復興
このように、私たちの国土や経済、暮らしが、災害や事故などにより致命的な被害を負わない強さと、速やかに回復するしなやかさをもつことを理想としています。具体的な例として、以下のものがあげられます。
- 国109の一級水系等において「流域治水プロジェクト」を策定。河川整備やダムの事前放流、浸水被害を軽減するための街づくりに取り組んでいる。
- 道路橋梁や学校施設などインフラ施設等の耐震・津波対策、老朽化対策の推進
- 災害に強い国土幹線道路ネットワーク機能の確保。未整備区間で途中で途切れている道路をなくす
- 集中豪雨等の観測体制の強化・予測精度の向上。
- スマートフォンを通じた避難に関する情報提供。被災状況収集を 行う防災チャットボットの社会実装を加速など、災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化
このような基本計画は全部で45プログラム。日本政府は、5か年加速化対策も踏まえ、施策を推進しています。
出典:内閣官房 国土強靱化年次計画2021(令和3年6月17日国土強靱化推進本部決定)
日本のSDGs取組み事例②:生産性向上と外国人人材
日本では老朽化するインフラが増加。安全な維持管理を行うためには、効率的な点検や修繕等を実施する建設就業者の確保が求められています。けれども、2018年度では、2017年度に比べて2万人の人材が減少。
さらに、新たな在留資格以外の外国人の入職を含めても、2023年までに更に3万人程度の人材が減少する見込み。これらを合わせると2023年までに21万人の人材不足を埋める必要があるのです。
これに対して、日本政府は、生産性向上(年1%)により16万人程度の人材確保の効果と、新規学卒者の入植促進等により1.5万人、新たな在留資格の外国人の受入数を3.5万人程度の人材確保が必要と想定しています。
老朽化対策における生産性向上のためには、点検の効率化やデータの整備・利活用、修繕における新技術・新材料の活用するとともに、外国人人材の確保が必要といえるのではないでしょうか。
住み続けられるまちづくりを実現するためにわたしたちができること
住み続けられるまちづくりの達成のためにわたしたちができることは、地域活動に積極的に参加することです。
日頃の地域住民とのコミュニケーションは、単に人間関係の構築に留まりません。
地域コミュニティのつながりは、地域の防災力を高めるために必要な「共助」の機能を高めます。
【防災を考える上で大切な3つの“助”】
- 自助:災害が発生した時に、まず自分自身の身の安全を守ることです。
- 共助:地域やコミュニティといった周囲の人たちが協力して助け合うことを指します。
- 公助:市町村や消防、県や警察、自衛隊といった公的機関による救助・援助のことです。
阪神淡路大震災では、多くの方が被災しましたが、救い出された人の多くは「近隣住民等」の共助によるものでした。
このように、地域コミュニティの活性化は共助を中心とした「地域の防災力」を高める効果があります。
地域コミュニティを活性化させて防災力を高めるためには、住民の自発的な行動に期待するだけではなく、自治体の後押しも必要になるでしょう。
内閣府の進めるSDGs未来都市に選定されている宮城県仙台市では、地域コミュニティで中心的に防災活動を推進する「仙台市地域防災リーダー(SBL)」の養成を進めており、新規養成者数を具体的なSDGsの達成指標に組み込んでいます。
また、仙台市では防災・テクノロジー・ビジネスを融合して、防災・減災の視点を取り入れた製品・サービスの事業化を促進する「BOSAI-TECH イノベーション促進事業」を進めています。
SDGsの目標11のキーワードである「防災」を切り口に、自治体自身もSDGsの取組みを推進することで、住民サービスや行政に対する信頼の向上につながるでしょう。
企業の担当者においても、自治体の動向は注視すべきです。
自社の事業が防災に貢献できるのであれば「防災力を高めたい」「防災を通じてSDGsに取組みたい」等の自治体のニーズを把握し、官民連携の提案なども良いでしょう。具体的なアクションを起こすことで、自社の認知の拡大やイメージ向上につながるかもしれません。
出典:仙台 BOSAI-TECH イノベーションプラットフォーム
出典:「自助」「共助」「公助」-防災危機管理eカレッジ|総務省消防庁
出典:地方創生SDGs・「環境未来都市」構想 - 地方創生推進事務局
出典:仙台 BOSAI-TECH イノベーションプラットフォーム
SDGsの目標11に基づく企業の取組み事例
各企業ではSDGsの目標3に対して、どのような取組みを行っているのでしょうか。取組みの参考に、事例をチェックしたいと考えるビジネスパーソンも多いでしょう。
そこで以下3社の取組み事例について紹介します。
併せて第4回「ジャパンSDGsアワード」を受賞した株式会社エムアールサポート(以下、エムアールサポート)の事例をご紹介します。
ソフトバンクのSDGs目標11への取組み事例:質の高い社会ネットワークの構築 〜新たな災害対応システムの運用〜
日本国内でも大手の電気通信事業者であるソフトバンク株式会社は「質の高い社会ネットワークの構築」を課題とし、2021年9月から、新たな災害対応システムの運用を開始しました(SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」)。災害に強い通信インフラを作るだけでなく、インフラへの支障が出た時に最速で復旧するための取組みを強化したのです。システムの本格的な運用により、災害時に通信基地局に支障が出ても、迅速に復旧できる見込みとなっています。
新たな災害対応システムでは、災害によって支障が出た基地局があると、監視システムがアラートを発報して被災データを蓄積します。その被災データをもとに本部では復旧手段を検討し、システムを通して現地に作業指示を出すのです。システムはスマートフォンからも利用できるため、スピーディーな完了報告も可能となります。
2011年に発生した東日本大震災では、通信基地局が大きなダメージを受け、被災地では携帯電話が使用できない状態が続きました。当時よりも通信機器は飛躍的に進歩しましたが、今後も大規模な災害があれば、通信機器は影響を免れません。新システムでの一元管理により、今後の災害発生時にはスムーズな復旧作業が進められるでしょう。
次の災害が起こるまでは誰も気づかないかもしれないインフラ対策。それを粛々と進めることこそが、未来を担うにふさわしいリーディングカンパニーの姿勢そのものであるといえます。
参照:通信は生活に欠かせないインフラ。最速復旧のために新たな「災害対応システム」を構築|SoftBank SDGs Actions #5
日本生活協同組合連合会のSDGs目標11への取組み事例:福祉事業
日本生活協同組合連合会は日本最大の消費者組織です。巨大な組織である生協ですが、地域にある生協では在宅介護サービスを中心にした福祉事業への取組みを行っています。そのなかで定められているのが「生協10の基本ケア」です。生協10の基本ケアでは、利用者および家族のQOLを高めるための手法を取りまとめています。その他デイサービスの運営、食育、生活習慣病や介護などの「予防」を重視した取組みも同時に進めており、2021年度の福祉事業収入は235億円で、前年度比104パーセントとなりました。
この取組みは、SDGsの以下の目標にあたるものです。
- 目標3「すべての人に健康と福祉を」
- 目標11「住み続けられるまちづくりを」
SDGsの目標にも関連しますが、自社の売り上げにも貢献する取組みです。
少子高齢化が進む日本では、今後ますます介護サービスが需要が高まります。そこでSDGsへの取組みと絡め、福祉事業への参入を考える企業もあるでしょう。しかし「自宅で介護を受けたい」と考える人も少なくありません。福祉に取組むなら、QOLを高めるケアはもちろん、生協のように「予防」に力を入れた事業も検討すべきでしょう。利益を上げつつ地域のサポートになる取組みが求められます。
コカ・コーラのSDGs目標11への取組み事例:地域社会への貢献
日本コカ・コーラ(以降、コカ・コーラ)は二位のサントリーの約2倍の出荷量を誇る、国内トップの清涼飲料水メーカーです。日本の消費者と最も密接な企業のひとつで、なおかつグローバル企業でもあるコカ・コーラの地域社会への貢献に関する取組みは「地域社会が健全であることが、持続的な事業活動の前提である」という考え方に基づいています。多くの活動は地域で働く社員と地域住民が一緒になって行われています(SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」)。
主な取組みとしては、環境教育プログラム「森に学ぼう」プロジェクトや、フードバンクを使った支援や自治体と連携した飲料水の提供、「アイデアソン・ミエミライ」や「仙台若者アワード」といった地域の若者とのワークショップイベント、さらに各地域の特色を生かしたデコレーション自販機の設置や工場見学など、本業を活かした地域社会への貢献活動によって地域との深い関係性を育てています。
近年ますます被害が増加している大規模災害に備えて、2020年末時点で1,059の自治体と災害協定を締結しています。避難所などへの速やかな飲料水の配給や自販機内の製品の無償提供など、いざという時のための迅速なライフライン確保に向けた取組みを進めています。2019年に発生した大型台風では、政府からの要請に応えて迅速に被災地へ製品配給を実施し、農林水産省より感謝状が贈られています。
単なる物品の提供だけでなく、地域住民とアクティビティを共にしながら着実に根を張っていく。豊かな水資源を育む「森」を相手にしている企業だからこそ、地道な活動が積み重ねられているのでしょう。
参照:コカ・コーラの地域社会への取組み:社会との共創価値(CSV)
エムアールサポートのSDGs目標11への取組み事例:公共インフラの整備や維持
その他の取組みとして、第4回「ジャパンSDGsアワード」を受賞したエムアールサポートの事例をご紹介します。
住み続けられるまちづくりを行うためには、公共インフラの整備や維持が重要になります。エムアールサポートでは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に基づき、道路という世界共通のインフラ整備に貢献する革新的な取組みをしています。
「測量美術」を切り口に、ICTを活用することで道路測量情報の見える化を実現しました。
重大事故のリスクや人手不足など、従来の測量の課題を解決する技術革新だけではなく、障害の有無に関わらずに誰もが仕事に関われる雇用の創出にも貢献しています。
エムアールサポートでは、道路の舗装修繕工事において、地上型レーザースキャナとUAV(ドローン)を組み合わせ、従来の手法では見えなかった道路の情報を3次元計測データとして活用できるようになりました。
- 実務に必要な情報をデータから抽出可能に
- 道路上での危険作業がなくなり、慢性的なガードマン不足が解消
- 道路上での測量作業がPC作業に置き換わったことで、建設業界に性別や年齢、障害の有無に左右されない雇用を創出
道路などのインフラに関連する事業は、社会的意義が高く、需要は世界にも広がっています。課題に対して有用な技術やサービスを事業展開しているのであれば、SDGsに取り組むことによって国内の認知や評価が高まる可能性があります。
その先には、新興国への技術提供による社会的な企業価値の向上や、ライセンスの販売による新たな収入源の創出など、事業拡大のチャンスが眠っているかもしれません。
出典:舗装修繕工事におけるICT積極活用の取組 「測量美術」動画資料|株式会社エムアールサポート
出典:第4回ジャパンSDGsアワード SDGsパートナーシップ賞(特別賞) エムアールサポート|外務省
出典:舗装修繕工事におけるICT積極活用の取組 「測量美術」動画資料|株式会社エムアールサポート
持続可能なビジネスへのヒント
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」を達成するためには、災害に強く誰もが安全・安心に暮らしていけるまちづくりが必要になります。
改めて、SDGsの目標11の実現に求められている要点は、以下3点です。
- 自然災害に強いまちづくり
- スラム街に住む10億人の暮らしの改善
- あらゆる立場の人を置き去りにしない仕組み
まちづくりに関するSDGsの取組みは、インフラ関係や都市計画など、比較的参入障壁が高い事業領域も多いでしょう。
自治体が担うべき領域も多いSDGsの目標11のテーマですが、自治体との官民連携を行うことで、SDGsに対する評価、ひいては社会からの評価を高めている自治体や企業の事例も多くあります。
BtoB、BtoCだけではなく、SDGsを通じて自治体向けのBtoGアプローチを検討することで、自社の販路や認知拡大につながる一手になるかもしれません。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
因みにツヅケル編集部が推奨するビジネスパーソンのための「SDGsビジネスラーニング」ではこれらの内容を動画(eラーニング)で視聴することができます。月200円~/人で視聴できる企業研修。サービス開始2か月で1.6万人が受講したeラーニングを是非ご覧ください。